Point2 完璧主義から脱却せよ!!!


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・受験生時代の勉強法


現役時代の志望校であった早稲田大学の問題を解き始めていたセンター試験前の12月、その中にはこのような問題があった。

「液体酸素の色を答えなさい」

という問題だ。

「酸素の色?まず液体酸素なんて見たことないし、色があるなんてそんな発想は無かった、そうだ!!ほかの窒素とか塩素とかも液体状態では特徴的な色をしているに違いない!!もしかして試験で出るかもしれないから全部まとめて覚えよう」

と私は当時このように考えていた。
一見意識の高い理想的な受験生のようにも見える。だがしかし気体の種類は膨大でありその液体状態における色をすべて覚えていることが効率的であり、本当に意味のあることなのだろうか?ちなみに液体酸素の色を知っている人はいるだろうか?液体酸素の色は淡い青色で、また常磁性を持つらしい。私はこのような過去問を解いていて本番では受験生の1%しかわからないようなマニアックな問題も解けるように細かく復習していた。だがこれが私の現役時代の落とし穴だった。



・試験はどこで行われるの?


試験はどこで行われるのか?そう地球上で行われる。当たり前のことだ。試験出題者は地上と大気圏内の範囲の問題を出題する。たまに月や火星といった近場の天体に関する問題を出すが、これは試験出題者から見れば、「合格するのに解けなくてもよい問題」として設定しており、一般的に受験生はこのような大気圏外の問題を瞬時に見極めて潔く捨てるという判断を試験中に強いられる。先程述べた「液体酸素の色は?」という問題は「アンドロメダ星雲級」の範囲外の問題であり、受験生は解ける必要がない。だが、私は「アンドロメダ星雲級の問題も取らなければならない、この問題を解けるようにして周りの受験生に差をつけてやる」と無意識に考えていた、今考えればこれが自分が現役時代に受験に失敗した原因であった。


実はこれは多くの受験生が陥りやすい罠でもある。完璧主義が故に本来出題者が解ける必要がない問題にも着手し、時間と手間を浪費してしまうケースであり、これは現役生よりも浪人生が陥りやすいものである。受験生は完璧主義という固定観念を捨てなければいけない。

だがここで一つ疑問が生じる。どうして出題者はこのよう「解けなくてもよい」ような問題を出題するのだろうか?


例を挙げて説明しよう。次の数学の問題は、早稲田大学2018年教育学部一般入試数学①(3)の問題であり、


点Pは、数直線上の点1から出発し、サイコロの出る目が1,2,3,4ならば、+1だけ、5,6ならば-1だけ動く、この試行を繰り返し、点Pが点0または点5に到達したときに試行は終了するものとする。点Pが点5に到達して終了する確率を求めよ。


問題の設定は非常にシンプルで、要はすごろくでちょうど5の点でゴールできる確率を求めるという一見簡単そうに見える問題である。「解けそうだ」と思って受験生は手を動かすが、解き初めて数分で「アレッ」とおかしなことに気が付く。「この問題は3項間漸化式ができてこれを解かなくてはいけないんじゃないか??、だとしたら相当難しい問題じゃないか?」と、ある程度優秀で合格する受験生はこのことに気が付くだろう。この問題は破産の確率といわれるもので3項間漸化式を立て解いて考えられる。この問題は経験がないと説くのは厳しく、またその誘導もないので試験問題全体の中でも非常に難しい問題である。だが、実践経験がなく教科書の例題程度しか解くことができないような受験生は、「これは解けそうだ」と何も考えずに、「あれ、解けないなあ簡単そうなのに、計算ミスかな、こんな簡単な問題早く解かないと大変だ!やばい!やばい!焦ってきた!俺駄目かも…」と考えて結果不合格になる。実はこのような「アンドロメダ星雲」の問題は実力が伴わない受験生を振り落とすのにとても丁度良い問題なのだ。大学側が求めている受験生は「高校卒業程度の基本的な知識を兼ね備えた優秀な受験生」であり、そのために試験問題に高校範囲外の問題を出すことができない。だからと言って簡単な問題ばかり出していては優秀な受験生以外に基準に達していない受験生もパスできてしまう可能性が高くなってしまう。そのようなことを防ぐために大学側はあえて「アンドロメダ星雲級の範囲外の問題」を混ぜ合わせることによって優秀な受験生の選別を行っているのだ。またこの問題のもう一つの利点は、冷静に現状分析ができず直ぐに慌てて取り乱してしまう受験生を除外することができる点にある。例えばこのような難しい問題に触れたときに、「なんだこの問題は、相当難しいなあ…でも周りの受験生はきっと解けてるんだろうなあ…やっぱ無理かも…」とすぐに思考停止に陥って状況判断を怠る受験生は、将来、研究を行うにしても不測の事態に対処することができないことは目に見えている。第一、このような不測の事態にこそ素晴らしい研究テーマが眠っていることが多く、これを冷静に分析してダイヤの宝石を見つけようとする努力を怠る受験生を、大学側が欲しいと思わないことは当然だ。大学側は、どんな時でも落ち着いて冷静に状況を分析できる受験生を欲しいと思っている。



・完璧主義は今すぐやめろ!

結局私が言いたいことは、「完璧主義は今すぐやめろ!」ということだ。例えば早稲田大学2018年教育学部理学部生物学専攻の合格ラインは90.495点、満点が150点(数学50、英語50、理科50)であるから、結局全体の60.33%が取れれば晴れて早稲田生になることができる。ほかの学部でも少しの差はあるものの基本的には60~65%の合格ラインに設定されている学部が多い。「あの早稲田大学に入るのにたった半分と少し取れれば良いのか」と少し疑わしく考える人もいるかもしれないがこれが現実である。だから例えば理学部に入りたければ、あのような難しい確率の問題なんかさっさと捨てて標準的な難易度の問題をきっちり回収し、全体の60%とちょっとを目指せばよい。得意な英語で頑張って40点、理科はあんまり得意ではないが取れる問題だけとって30点取れれば、残り数学で必要な点数は、たったの20点、半分点数を落としてもおつりが出るくらい余裕で合格することができる。
(理科30点、英語40点、数学25点 合計95点 合格🌸)

少し驚きではないだろうか。これは日本の最高学府東京大学でも同じことが起きる(このことは後の話でまた述べようとは思うが)、あなたが雲の上の存在だと決めつけていた早稲田大学、東京大学だって実際は問題の6割程度しかとれていない受験生が殆どなのである。

「受験生は完璧主義からいち早く脱却するべきだ」

このことは受験生のみならず、大学生を始めとする一般人、若者にも同じことが言える。
完璧を目指していると成功が遅れる。完璧主義な人間は人間関係においても密接な関係以外を許さずその為に人とのコミュニケーションに抵抗がある人が多い。完璧主義な人間は仕事をするにも完璧を目指すがゆえに締め切りを守らないことが多い。まずは完璧でなくてもいいからプロトタイプを提出することが大事なのだ。これが個人の問題ならばいいが、社会人となって一つのプロジェクトを動かすとなったら、完璧主義な人間は大変な思いをするだろう。プロジェクトとは全体の仕事が構成要員一人一人の仕事の集合体であり、一人の仕事が遅れれば全体の仕事のスケジューリングに支障をきたす。

完璧主義な人間は人生において得することがない。それどころか他人に迷惑をかけ、かける必要のないことに無駄な時間を割き、若い時の大事な時間を浪費するだろう。
脱完璧主義についての話はまた改めて具体例を述べて説明しようと思う、私の尊敬するマイクロソフト創業者ビルゲイツの考え方などは完璧主義な固定観念を持つ人に非常に参考になるので是非伝えたい。まず受験生も社会人も大学生も完璧主義という固定観念を捨てるところから成功への道が始まるのだ。


Done is better than perfect (ビルゲイツ)


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