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行動力ファクター part4

今回は行動力を司っている重要な要素、”報酬系”について述べていきましょう。あなたはどんなときに「幸せだな、充実しているな」と感じますか?

・高級レストランで美味しい食事をしたとき。 ・パートナーとセックスをしたとき。 ・1ヶ月アルバイトを頑張って給料日に給与明細を確認したとき。 ・テストで満点を取れたとき。

等などが挙げられると思います。

これらの行為をしたとき我々が「幸せだな」と認識するのには実は共通の脳内における働きが大きく関係しており、これを”報酬系”と呼びます。


報酬系には、ドーパミンやセロトニンなどの脳内物質を含み、これらの物質が分泌されることで我々は幸せを実感することができるのです。ではこれらの報酬系は一体どんなときに分泌されるのでしょうか。次の一覧をご覧ください。

1)動物的報酬
・肉体的報酬 … 食べる、セックスするなど。より本能的なものに近い。
2)人間的報酬
・物理的報酬 … お金や物など何かを獲得した時に感じるもの。
・達成報酬 … 仕事やミッションを達成した時に感じるもの。
・感覚的報酬 … 美的感動・知的好奇心などが刺激された時に感じるもの。
・社会的報酬 … 人に褒められたり、自分が特別な存在だと感じた時などに感じるもの。
・ビジョン報酬 … 夢や理想を思い描いた時などに感じるもの。実際に手にしていなくても、それを思い描くだけで報酬系を働かせることができる。
3)短期的報酬
・摂取報酬 … アルコール、タバコ、薬物などの摂取によるもの。
・バーチャル的報酬 … ゲーム、スマホ、ギャンブルなど。 

以上、示した3つの報酬系が我々が「幸せだな」と感じる要素となっています。我々にとって一番身近なのは「食べる」ことによる肉体的報酬でしょうか、働いて給料を貰うことも物理的報酬のひとつであり、その他にもアルコール・タバコ・ゲーム等によるネガティブ要素を持った短期的報酬もあります。このように人間は様々な方法で幸せを実感することができるのです。


それではここからこの報酬系に基づいて「どうしたら行動力を高めることができるのか?」という議論を始めていきたいと思います。

行動力を高めるのに非常に重要になるのは、「いかにしてモチベーションを保つか?」ということでしょう。モチベーション・やる気は行動力と密接に関係しており、このやる気がなければ仕事で大きな成功を収めることも、充実した私生活を送ることもできないでしょう。では「このモチベーションはどこからやってくるのか」という議論をするときに先程述べた”報酬系”が非常に大切になってきます。人間は”認められたい、モテたい”などの承認報酬や、”お金持ちになりたい”物理的報酬を求めて行動しようとします。今努力している行為が自らの報酬に繋がらなければモチベーションは持続できません。だからこそ行動力と報酬系は非常に密接に関係しており、また行動力とは、脳内の報酬系ホルモンとどのように向き合っていくかどうかが非常に重要なのです。では”報酬系”を上手く利用して行動力を高めるために具体的に我々ができることについて説明していきましょう。


あなたは今プログラミングの勉強をしています。あなたがプログラミングの勉強を長続きさせるためにはどのようなマインドセットで取り組めばよいのでしょうか。先程述べた報酬系の具体的要素をもとに実際に考えていきましょう。

例えば、プログラミングを猛勉強して将来システムエンジニアになり、プログラミングでお金を稼ぎたい。プログラミングを猛勉強して実力をつけて女の子にモテたい。プログラミングを猛勉強して社会に貢献したい、などが挙げられるでしょう。

今挙げた3つの報酬系要素をまとめると以下のようになります。

1、お金を稼ぎたいという物理的報酬 2、社会的に認められたいという自己承認報酬 3、社会に貢献したいという社会的報酬

この3つの要素には、ある行為を行う(プログラミング)とき、その結果が自己価値を形成することに繋がるということが共通しています。実はこの3つの要素は現代の社会における利益を生み出す要因となるものだと私は考えています。

20年程前の日本社会は、所謂”貨幣制度による資本主義社会”が巷に広がっており、従業員が働き利益を生み出し、資本者が給料与えるという仕組みをもとに経済のサイクルが成り立つ制度が一般的になっていました。前述した”1、物理的報酬”がもとになってひとはお金を稼ぎ、そして稼いだお金で好きな物を買うというサイクルによって報酬、幸せを感じる社会の仕組みが一般化されていました。

しかし、そんな社会の仕組みにはある欠点があります。それは富の偏在化です。当時(現在もそうですが)、世界全体の富の半分以上が全人口70億人のうちたった63人の大富豪が所有している現実がありました。彼らの経済活動が世界の経済の中心となっていましたが、彼らは所有しているお金を経済サイクル内に回さず、使わずに所有するようになった為に世界全体の経済が不況になる事態に陥りました。このことはお金を稼いだり使ったりする経済において”ヒト”という存在が非常に重要な存在になっている以上、ものを買う必要がない、物理的報酬を満たす必要がない為に人間の感情的要因から自然に引き起こされる事象なのではないかと思います。(不況の要因は勿論それだけではありませんが、富の偏在化によって物理的売買を経済サイクルの中心におく社会は不安定と言わざるを得ませんでした。)

それでは現代の経済ではどうでしょうか。我々が生きる現代の経済では、今まで1、物理的報酬による価値生産だけではなく、2、3のような人やモノに内在する価値がお金に変換される”価値貨幣制度”の時代をむかえています。その為、非営利と営利の境界線がなくなってきているのです。具体例としては、SNSにおける”インフルエンサー”の存在です。SNS(TwitterやInstagram)では、インフルエンサーと呼ばれる多くのフォロワーを所有し、影響力の強い人たちがいます。彼らの内在する価値はその気になればいつでもお金に変換することが可能です。例えば、その影響力を利用して広告を張って宣伝し、そのアフィリエイトでお金を稼ぐことができます。この仕組みは”内在する価値→お金”に変換する今までにない新しい経済の仕組みであり、その他にもyoutuberなどが世間で有名になっている現代においてその経済の仕組みが社会に溶け込んでいっていることが伺えます。また3の要素も非常に重要で、現在多くの日本の企業(トヨタ自動車・旭硝子等など大手企業は勿論、中小関わらず多くの企業)が環境に優しいハイブリットテクノロジーの開発に励んでいたり、社会貢献から価値を生み、信用や共感を生み出すことから利益を生み出そうというプラットフォームも確立されてきています。20年前に経済を支えていた貨幣システムによる物理的報酬によって統制をとることが困難になった社会は、新しい一歩を踏み出し、2,3のような”価値をお金に変換する”新しい経済の仕組みを発展させてきました。これこそが、現代の”価値貨幣制度”による社会です。

「モチベーションの話をしているのにいきなり経済の話??あまりにも話が脱線していないか??」とお思いでしょう。しかし、経済の仕組みとモチベーションには切っても切れない非常に深い関係があります。経済を動かしているのは、元々人の「~がしたい」という欲求によるものです。企業はお客様のニーズに合わせて商品を開発し、売り上げを伸ばそうとします。これは言い方を換えれば、”人間の報酬欲求から価値を生み出そう”という行為そのものであり、人の買いたいという欲求に合うように試行錯誤することによってお金を生み出し、そしてこの需要と供給のサイクルを元に経済がなりたってきました(この例は物理的報酬に基づく例である)。

モチベーションの話に落とし込むと、このような経済を動かしている人間という歯車によるエネルギーから得られる知識を利用することで、人がどうしたらモチベーション・やる気を生み出して積極的に行動することができるのかということが見えてきます。あなたがもし、「毎日勉強しなくちゃいけないのに継続することができない」と思っているのなら、この報酬系の仕組みを上手に活用することができていないのです。報酬系を上手に活用するために大事なことは、経済の話で前述したように、1、物理的な報酬 2、自己承認による報酬 3、社会的報酬 を理解し、活用すること、そして絶えず自分の中に価値を生み出す努力をすることです。この報酬系は同一の刺激が繰り返されるとマンネリ化し、刺激に対する褒章が少なくなり、我々が「幸せ」と感じる度合いが減少する傾向があります。その為に毎日、新しい目標を掲げて、環境を頻繁に変えることが大切になります。環境は自然に変わることはありません、自らの人生に幸せをもたらすために環境を適度に自ら変化させ、報酬系の恩恵をフルに活用することが大切です。

例えば、あなたが勉強を毎日しなければならないなら、常にどうして勉強するのかを考えることです。将来お金を得たりする物理的報酬を得るため、モテたりする自己承認報酬を得るため、社会に貢献する社会的報酬を得るため、経済はこの3つの要素を軸として価値生産し取引されサイクルを回しています。そのエネルギーをモチベーションを生み出すのに利用していきましょう。そして報酬系はマンネリ化しやすいので、適度に環境を変え、新しい分野を勉強してみるとか、予備校に行って勉強の仕方を変えてみるなどの変化を自らに与えることも重要になってきます。


今回は行動力において重要となるモチベーション・やる気を経済・社会の観点から分析し、その軸にある”報酬系”について説明しました。次回は内的イメージ書き換えについて説明していきたいと思います。



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