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傷に蓋を、していた (31歳女性 2021/08/26)

疫病が流行しているので、よぶんな外出を控えるようにと通達が出された。(「傘をひらいて、空を」-槙野 さやか)   息を潜めて生きている。

木曜の午後から休みを取り、なんとなしに土曜日の昼間に映画館へ赴いた。品川プリンスホテルの映画館の奥の劇場、10番シアターで川面真也監督の「岬のマヨイガ」を観た。

あたたかい話。大竹しのぶが演じるおばあちゃんが、東日本大震災と、その津波の影響で身寄りがなくなった少女のユイと、ひよりと暮らし、優しい日常を重ねて行く話だった。

冒頭から何度も涙が出る。

災害で、こんなふうに辛い思いをしている若いこどもたちが居たのだろうか、と思う。自分に何ができるだろう、と思う。

「よく生きていたね、よくがんばった。」

「命があるだけでありがたい」

台詞が体を貫いた。


この社会を生きていて、
どうしようもなく消えてしまいたくなる夜がある

両親も兄弟も 友人も同僚も すべてから逃げて
誰も知らないところまで 裸足で駆けて行って

いつか行ったスキー場で  ひとり雪に倒れこんで
空から降ってくる白い粒たちがきれいで 
雪が音を吸い込んで すごく静かで 真っ白で 見上げた景色がきれいで
ここで全ておしまいにしてしまおうか、と 思った

消えてしまいたいと 消えてしまえばもうこんなに悲しい思いはしなくてよいのにと。

私の思う桃源郷には誰もいない


醜い私もいない


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