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愛、されること

強くなりたいし、優しくなりたい。すべてに。

自分がこうなってしまったのは生い立ちや家庭環境のせいだ!って、実際そう思ってるけど、過酷な家庭で育った人でも成功してる人がいるわけで、そうすると私のこの盾ってもうなんの意味も成さなくて。生い立ちや家庭環境が劣悪なのは、不完全な人間であることの言い訳にならなくなる。

不完全が悪いわけじゃないって分かっているけど。難しいよ、自分を納得させるのがいちばん難しい。頑固で頭かちこちで融通の効かない人間のこと、どう説得すればいいんだろうね。私は私の扱いが難しいよ。

強くなりたいってずっと思ってるけど、多分ずっと叶わないんだろうな。強さと優しさで出来た人間になれたら、私は私を好きになれるはずなのに。どちらも現状持ち合わせていない私は、私の理想からははるか遠くにいて、私を納得させるにはまだまだ時間がかかりそうで。

強くあれたら、他人の悪意ある言葉に傷つかなくて済むし、それすらもバネにしてまた更なる強さを手に入れられるのに。プライドだけが高いばっかりで傷つきやすくて面倒な、私が1番なりたくない人間が今の私。どうしようもなくて苦しいよ。こんな筈じゃなかったのにって日々の生活の中で何度も思う。

優しくあれたら、他人を無意識に傷つけることはしないでいられたのに。私みたいなのは結局、されたこと・言われたことはいくらでも記憶しておけるくせに、自分が他人にしたことは都合よく忘れてしまう。この世のどこかに、私の言葉や言動に傷つけられて今もそれがフラッシュバックしたりするって人がいたら、私はもうその人の前で首を括ることしかできない。その人の人生の中に、私が悪影響を齎しているなら、死んでしまいたいよ。

血縁の母親・父親から、愛情を受け取れなかったことが、今の私の冷めた部分の元凶だとしても、そんなものを跳ね除けるくらいの底抜けの優しさを持ちたかった。他人の幸せに嫉妬して、自分の不幸を嘆くばかりのあまりにつまらない人生を振り返ると、あの時死んでればよかったとつくづく思う。

血縁の母親も父親も、今どこにいて生きてるのか死んでるのかも私には分からなくて、別に知らなくたっていいけれど、謝ってくれたら私の憂いはそれで晴れるのかな。ずっと薄く濁った自分の人生はそこから明るくなるのかな。わかんないや。ただ、ひとつ、怖いから聞けないけど聞きたいのは「私のこと可愛くなかった?」ということ。こんなの怖すぎてきっと聞くことはないけれど、お腹を痛めて産んだ子供でも、愛しい気持ちは芽生えなかったのかと思うと、当時の幼い私は報われないなって。

お母さん、私はもう来月で24歳になります。
貴女はもう私の事など忘れてしまっていますか?どこにいますか?生きてますか?私を生んだことさえ忘れていますか?毎年11月17日が来ても、貴女の頭に私が浮かぶことはないのでしょうか。
お母さんに会いたいなんて気持ちは正直あまりないけれど、自分は貴女にとって生まれてよかった存在なのかが、たまに気になってしまいます。
貴女が私を置いていなくなったということは、少なくともその当時は私のことが要らなかったんでしょう。それは、今もですか?
私は生まれ落ちてきて良かったんでしょうか?本当は堕ろしてしまいたかった存在だったりするんでしょうか。産んだこと、後悔していますか?
このまま24歳になってもいいですか?
貴女に、他の誰でもない私を産んだ貴女に「お誕生日おめでとう」って言ってほしい。生まれてきたのが間違いじゃなかったことを実感したい。祝福されて生まれてきたんだと思いたい。そうじゃなきゃ、今迄の人生が全部馬鹿らしくなっちゃう。生きてたのが、馬鹿みたいに思えちゃう。

母親の記憶は無い。写真が無いと顔も分からないし、声なんて覚えていないし、私のことをなんと呼んでいたのかも知らない。本当に母親に関する思い出が私の中から抜け落ちていて、ただの一つも思い出せない。だから、母親もそうなんじゃないかって。母親も、もう20年近く音沙汰が無いから、私への興味は愚か、もう全て忘れて今を生きているんじゃないのかと、思っている。愛されて、いたかった。我儘かもしれないけれど。

憶測だけど、貴女も私のように、強くも優しくもなれない人だったのかな。強くて優しいのが、ぼやっとした母親像だけれど、そうあれなかったから、私を手放すしかなかった?

だけど同じ血なんでしょうね。私ももう今さら強くも優しくもなれないよ。

すべてを愛する自信が、どこにもない。

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