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11.撮影2日目 夜
その日は、夜も暴風だった。
修太が美鈴に怪我の手当てをしてもらうシーン。
ここは修太が美鈴に
心を開きかけたことを暗示するシーンだ。
かなり、センシティブな
感情を表現することを狙っていたが、
暴風がまたも立ちはだかる。
撮影部、照明部ともに
機材を支えるのに苦労していた。
本当にスタッフ一丸となって撮りきろうとしていた。
それに俳優2人も高い集中力で応えてくれた。
![](https://assets.st-note.com/img/1700417301836-fO5Z6iTSio.jpg?width=1200)
そして、橋での最後のシーン。
冒頭、美鈴がカラオケを抜け出して
修太を追いかけてくるシーンだ。
このシーンを1カットで手持ちで行くのは
最初から決めていた、だが
この風の中、芝居、カメラワーク、ライティングが全て
うまくいかないとOKは出せない。
しかし、まだ
修太のアパートのシーンが残っている。
しかも、こともあろうに
明生役の細山田さんを朝からずっと待たせている。
急がないといけない。
緊張感が迸るなか、6分の歩きの1カットに挑戦した。
結果は全てノーミスの
1発OKだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1700417586963-jNWJbcQN0O.jpg?width=1200)
そして、細山田さんの待つアパートへ向かう。
アパートへ先陣を切って戻った時
細山田さんは笑顔だった。
かなり待っただろう。
しかし、笑顔だった。俳優は待つのが仕事と言うが、
そのものだった。さすがだ。
謝りながら、準備へととりかかる、
修太と明生のシーンはすぐに撮り終わった。
なんとか細山田さんを送り出し
修太のアパートのシーンへとりかかる。
修太のアパートのシーンは拘りがあった。
帰ってきた修太が代行家族のチラシを見るシーンだ。
暗闇の中に光の筋が差して
代行家族のチラシだけに光を差したかった。
代行家族が修太を救う暗示のカットだった。
部屋が狭くライティングが大変だった、うまく撮れた。
そして、最後
冒頭に使う予定の
電気をカチカチとつけたり消すシーン。
これは難しかった。
ここは日比野さんの技術に感服した、
ここには詳しく書かないが、表現が出来たと思う。
そして、このカットに拘って本当に良かったと思う、冒頭ならず
後半の大事な修太の心の変化に使えたからだ。
ここも脚本にはない表現に変化させて編集演出をした。
詳しくは書かないが、割とこの手法は気に入っている。
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