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【BOOK①】『傲慢と善良』を読んで

 帯の「恋愛だけでなくあらゆる悩みに答えてくれる物語」という文に惹かれ買った。

読み終わって率直に感じたのは、
傲慢だから悪い、善良だから良いってことはないんだと。
特に善良がゆえの弊害があることを知った。

主人公、架がストーカーの犯人探し中に会った花垣を見て感じたこと。

彼女が消えて、周りの人間が困っているようだから、ただ来た。
何のために呼ばれたのか、疑われいるのかもしれないなどとは夢にも思わず、彼が言った通り、打算のない、考えなしな、愚鈍にする映る素直さで、「会いたいと言われたから来た」のだ。

多くを望まないで生きていて、そうであるがゆえに「自分がない」と言われてしまう人たち。

傲慢と善良 辻村深月

最後、架がどうして真実にプロボーズを申し込んだのかは正直腑に落ちなかった。
でも、真実が感じていた生きづらさみたいなのは自分も感じることがあった。

現代の生きづらさをリアルに描写してある本であった。

最後にもうひとつ考えさせられた文章を。

「ピンとこない、の正体は、その人が、自分につけている値段です」
「値段、という言い方が悪ければ点数と言い換えても良いかもしれません。
その人が無意識に自分はいくら、何点とつけた点数に見合う相手が来なければ、人は”ピンとこない”といいます。ー私の価値はこんなに低くない。もっと高い相手でなければ、私の値段とは釣り合わない」

「ささやかな幸せを望むだけ、と言いながら、皆さん、ご自分につけていらっしゃる値段は相当お高いですよ。ピンとくる、こないの感覚は、相手を鏡のようにして見る、皆さんのご自身の自己評価額なんです」

傲慢と善良(小野里さんの言葉)


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