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公共デザインイニシアティブ

これは、私が理事長を務める特定非営利活動法人の名称です。2017年に、前理事長の西村さんから、「あとは君たちに託す」と言われ、社員総入れ替えという形で、法人を承継しました。当時はNPO法人NetComさがという名称でしたが、さかのぼると1998年に発足したNetComさが推進協議会の活動の受け皿として、2006年にNPO法人化しているので、約四半世紀活動を続けていることになります。ちなみに、2014年に立ち上げたCode for Sagaも、この法人のプロジェクトと位置づけています。

なぜ、改めてこの話題を書こうと思ったかというと、2017年に承継を受けてから、何か悶々としつつも、うまく回せていないなぁという反省があって、そこからの脱却を図るべく決意表明をしておこうと思った次第です。

そもそも、なぜ承継しようと思ったのか

承継前のNPO法人NetComさがは、佐賀県内のメディア(ケーブルテレビ局など)を中心に社員が構成されていました。インターネットが普及し始めるころから、インフラ整備と利活用に努めてこられ、様々な実証事業や情報モラルへの取組など幅広く展開されていました。

一方で、インターネットが一人一台の手のひらにのるデバイスで完結するようになると、やはり法人に求められるニーズも変わり始め、組織としての活動の方向性が見えづらくなってきていたのではないかと考えられます。

2014年2月、Code for KanazawaやCode for Japanの発足を知った私は、ほんと見よう見まねでCode for Sagaを立ち上げました。忘れもしないインターナショナルオープンデータデイの会場で、Code for Sagaやろうぜ、と宣言したのを覚えています。あのときの緊張や興奮、参加してくれた人たちのことを今でも思い出すことがあります。

そんな中で、2017年、前理事長から、Code for Sagaや地元で頑張っているベンチャーの有志で、この法人を引き継いでくれないか、とお声かけをいただいたのです。ちょうどCode for Sagaの法人化などを考え始めてた頃だったので、ありがたく引き受けることにしました。

初期の活動は

2017年、法人を引き受けたあとは、前体制で力をいれていた情報モラルなどの取組を引き継ぎ、シンポジウムなどを企画開催しました。行政からの業務委託料が少しある程度で、ほぼボランティアベースで、細々と活動を続ける感じでした。

新規の取組としては、高校生ICTカンファレンスへの参加や、Code for Sagaで取り組んできたアーバンデータチャレンジなど、前法人の方向性を維持しつつ、シビックテック要素を合流させるというイメージで事業を展開しました。

私がやりたいことは何なのだろう?

1年、2年と活動を続けると、このようなボランタリーな活動は、行き詰まり感みたいなものと対峙することも多いのかもしれません。当法人も同様で、毎年のルーティンを事務局が必死にこなしているような状況で、その事務局≒理事長みたいなw構図が生まれてしまっていました。

何度か、事務局や事務局長的な方を探してはみたのですが、上手く続かず、、、そんな中、この法人の存在意義をきちんと振り返ろうと思い、夜な夜な考えるようになりました。

私は、2016年から内閣官房(デジタル庁)オープンデータ伝道師として活動をさせていただいていることもあり、なぜこれからの社会にデータが必要かということを、なるべく分かりやすく、自治体や市民の皆さんに伝えてきました。その文脈の中で、やはり欠かせないトピックが「縮小型社会」をどう生きていくか、ということなのです。行政が全てをやってくれる時代は終わる、行政はデータだけをオープンデータとして提供し、あとは民間企業やシビックテックに任せる!みたいな潔さが必要、と(無責任に)言ってきました。

多分、人口が減り、世帯数が減り、税収が減り、高齢化率が上がる社会では、地方自治体の規模も縮小しつつ、本当に必要なサービスだけを高度化させ、そうでないサービスは取捨、もしくは効率化していくことが必要になるのではないかと思っています。今、しきりに自治体DXと言っているのは、この準備であって、デジタル化すると効率化できますよ、というだけではないのです。

公共の担い手は誰?

TEDのプレゼンテーションで、Code for Americaのジェニファーパルカさんは、シチズンコネクトというサービスを紹介し、住民の困りごとを行政が解決するのではなく、ネットを介したコミュニケーションで、ご近所さん同志で解決する、というエピソードを紹介しています。

少し前、国内でも「共助」という言葉が注目を浴びました。行政が「共助が大事」というと少し無責任に聞こえるかもしれませんが、市民が自ら共助を考えそのあり方を模索するのは、すごく大事なことだと考えます。

数年前、多分Code for Japanサミットの基調講演だったと思うのですが、街にある公共空間、公共施設を、市民参加でデザインするといったお話を聞いた記憶があります。これまでだと、行政が、有名な建築家を招き、話題性のある立派な建物を建てるのが常だったように思います。設計はプロの仕事ですが、そこに市民の意見を反映するプロセスを、時間がかかっても、不完全でも入れ込むことが、これからもっと重要になるのだと思います。

だから、私たちのNPO法人は、2020年に、NetComさがから公共デザインイニシアティブに名称変更したのです。

まだ、何の成果もありませんが、まずは佐賀市と取り組む、SAGAスマート街なかプロジェクトから始めようと思っています。スマートシティの取組は、ともすれば、技術中心になり、社会のあり方や人々の暮らしがかすんでしまいます。そうではないボトムアップ型の取組を小さく、楽しみながら積み上げていきます。




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