本家はどこか?

  最近では、
「やっぱり、栃木の宇都宮でしょう。銅像もあるし」
「いやいや、実は静岡市の方が多く食べられているらしい」
 と餃子の消費量を競いあっている街がある。ところがそこへ、
「とんでもない。同じ静岡県でも、実は浜松の方が凄いんですよ」
「忘れてもらっては困る。最近は福島も、餃子が名物になりつつあります」
 ……などと、それぞれが「餃子の街」として注目されている。

 いずれにせよ、中国経由でやってきたことは確かだろう。では、その中国ではいつごろから食べられているのか?
 南にタクラマカン砂漠、西に遥か天山山脈を望む、中国・新疆ウイグル自治区。トルファンの街。かつて、シルクロードの中継地点として栄えた場所だ。この街に「アスターナ古墳」というものがあるらしい。
 ここから、かつてのオアシスの街としてのさまざまなものが出土するのだが、なんと、その中にあるという。「餃子」が!

 同じくシルクロードの街・敦煌でも、死者と一緒に埋められた副葬品の中に、壷に入った餃子が乾燥状態で発見されたという。これが、中国でいうと唐の時代。
 いやはや、その頃から、あの国では餃子を食べていたのかと感心する。…と驚くのはまだ早い。
 なんと紀元前5、6世紀の春秋時代に、すでに餃子らしきものがあったともいう。ちなみに、その頃日本はまだ縄文時代。当然、宇都宮も静岡も浜松も福島も、影も形もない頃。
 かの国の食べ物についてのこだわりには、脱帽するしかない。

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