誰もいそがない町 2

 この本の中の一編が、とある高校の入試に出題されたことがある。(当たり前だが)試験が終わったあとで、連絡があった。
 ぼくは、
「記念にその試験問題を送ってもらえませんか?」
 とお願いした。

 届いた試験問題は、本から「知らなければならないこと」という一編を丸々引用したあと、そこから八つの設問を作ってあった。解けるかどうか、チャレンジしてみた。
 語句を入れる問題などは簡単にできたのだが、「著者のいいたいことは?」とか「この時の著者の気持ちは?」などという問題が難しいのだ。すべて四択でA~Dの、それらしい選択肢が用意されているのだが、
「う~ん…どっちかな。BかDのどっちかだと思うんだけど…」
 と迷う。よくできているのだ。
 結局、よくわからなかった。
 本人でさえわからないのだ。そりゃ、試験の時、わからなかったわけだよなあ…と学生時代のことを思い出して、少し納得した。

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