75.なつメロ

 先日、番組アルバイトの女のコが連絡メモに「夏メロ」と書いてよこした。
 なんだこりゃ?
「なつかしのメロディー」の略が「なつメロ」。こんなことは誰でも知っていると思ったら大間違いだったのだ。
 かのアルバイト嬢曰く、
「だって、よく夏にやってるじゃないですかぁ」
 そりゃそうだな。なぜかこのテの番組はどの局も夏場にやる。
 ぼくが子供の頃の「なつメロ」といえば戦前・戦中の歌と、戦後でも高度経済成長前までの歌、それに軍歌……というのがその範疇だった。思うに、どれもなんらかの形で戦争の記憶と関連のある歌だったのだ。そこで、夏に番組をやっていたのだろう。

 ところで、同じ主旨のNHK「思い出のメロディー」は今年で31回だった。当然ながら30年前の時点で「懐かしい」と思う歌と、現在「懐かしい」と思う歌は違う。なのに、現在は一緒くたになってすべて「なつメロ」と呼ばれる。
 しかしね、やはりバタやんと「木綿のハンカチーフ」を一緒にくくろうというのには無理があるのだ。
 そろそろ「なつメロ」に代わる新しい名前が必要なのだ。例によって、頼まれてもいないのに、ぼくが勝手に考えてみた。
●新なつメロ……新しいのか懐かしいのかわからない。
●Jなつメロ……流行にのってみました。
●戦前戦後を「なつメロ・ディビジョン1」、高度経済成長時代以降を「なつメロ・ディビジョン2」とし、毎年入れ替え戦がある。……Jリーグじゃないよっ! 

【モンダイ点】
◎30年後には宇多田ヒカルも同じ「なつメロ」歌手でくくられてしまうのか?

(ステラ/1999/9/23)

お読みいただき、ありがとうございます。本にまとまらないアレコレを書いています。サポートしていただければ励みになるし、たぶん調子に乗って色々書くと思います! よろしくお願いします。