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団地になった男 2

 表紙イラストは、奥平イラさんにお願いした。この少し前「とんでもクライシス」というゲームを作った時、知り合っていたからだ。テイストとタイトルのデザインが手塚治虫チックで、ぼくは気に入ってる。

 この本の編集作業中、編集者が「いま、藤井さんの本を作ってるということを、Kさんが知りまして…」と、有名な作家K氏の名を出した。ぼくが尊敬している作家で、実は面識もある。「Kさん曰く『藤井青銅とはいいところに目をつけたね』とのことでした」とコーフンして伝えてくれた。
 これは最初から文庫本企画としてぼくが出したアイデアだった。が、くだんの編集者はぼくの原稿を読んで、(プラスしてK氏の言葉に自信を持って)「とても面白いので単行本に昇格できないか、上司に交渉中です!」と言ってくれた。
 結果は、文庫のままの出版だった。が、そう思ってくれただけで、ぼくは嬉しかったけどね。

 出版後、声優の永井一郎さんから感想のハガキが届いた。永井さんとはご縁があり、よくぼくの本を送っていたのだ(このキッカケについては、のちに書く。たぶん)。「面白い! これは売れるでしょう」と達筆が踊っていた。
 たまたま出版直後、某放送局の会長さんとお仕事をしていたので、本を差し上げた。さすが偉い方は違うもので、ぼくなんかの本にもすぐに目を通し、次にお会いした時「いやあ、サンドイッチがあんなに悪いやつとは知らなかったよ」と感想を語ってくれた。

 そんなこんなで、ヒットの予感は大…だったのだが、そうはならなかった。ま、世の中そんなものだ。
 さらに、出版後、ぼくの師である星新一さんとの意外な共通点を知ることになるのだが、それは次回。

お読みいただき、ありがとうございます。本にまとまらないアレコレを書いています。サポートしていただければ励みになるし、たぶん調子に乗って色々書くと思います! よろしくお願いします。