「1 時間でパッとわかる なるほど現代世界史~ 資本主義VS共産主義、何があった!?」 (その1)
この、なんとも長いタイトルの本ができる経緯は、ちょっと変わっている。
突然のFAX
ある日突然、ぼくの家にFAXが来た。
《はじめまして。藤井さんに、資本主義と共産主義の対比で現代史の本を書いてもらえないかと思いまして…》
という依頼。
これまで仕事をしたことがない出版社。もちろん、面識のない編集者さんからだった。なんでも知り合いの編集者から、ぼくの自宅のFAX番号を教えてもらったとのこと。
ぼくは、二つの点で驚いた。
①たいして売れてもない作家に依頼をしてくる、奇特な方がいるとは!
②主に笑えるものばかり書いているぼくに、「資本主義」とか「共産主義」なんて堅いテーマの依頼が来るとは!
きっと間違いだ
ぼくは考え、こう理解した。
「はは~ん、わかった! FAXの送り先を間違えたな」
きっと、こういうことだ。この編集者さんは、同時に二つの企画を立ち上げた。一つは「資本主義と共産主義の本」で、依頼するのはそういう硬派の作家さんX氏。もう一つが「何か世の中の役に立たないくだらない軟派な本」で、依頼するのはそういう本ばかり書いている藤井青銅。
ところが、FAXを送る時、両者の番号を間違えてしまった。ゆえに、ぼくにこんな硬派な依頼が来た。一方、いまごろ硬派の作家X氏にはくだらない企画依頼が行っているはずだ。そう、これしか考えられない!
「そのうち、先方から訂正の連絡が来るだろう」
と思って、ぼくはしばらく依頼をほったらかしにしておいた。
そして電話が来た
はたして、やがて電話が来た。
―先日FAXした者ですが…。
声だけで聡明そうだとわかる女性だった。
「あれ、間違いだったんでしょ?」
―いいえ。
「え? でも、ぼくは藤井青銅ですよ」
―はい。
「そのぼくに、資本主義と共産主義?」
―そうです。
「え? あ? う…*@を&!…%$?# …ちょ、ちょっと、待ってくだ、さい…」
こっちがうろたえた。
(続く)
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