笑う20世紀・ピンク

電子書籍紹介のラスト。色は「ピンク」ですが、べつにお色気物特集ではありません。 

収録作のタイトル(初出誌)です。 

「ギャグ著作権」(小説club) 
「ビックリスペシャル」(ショートショートランド) 
「人材の豊富な放送局」(ショートショートランド) 
「バラエティ・ショウ」(問題小説) 
「素人の時代」(問題小説) 

伝説の雑誌「ショートショートランド」

 伝説の、と言ってもいいでしょうね。ショートショートだけの小説誌でした。年一回の「星新一ショートショートコンテスト」出身者を収容し、育て、もちろんそれだけでは雑誌は成立しないので、有名作家にショートショートを書いてもらう――という雑誌でした。

 しかし、(あっという間に読めてしまう)ショートショートばかりなのに「季刊(のち隔月刊)」というのは時代のサイクルに合わない。有名作家の作品を単行本化して収益を上げるのが小説誌のビジネスモデルですが、いかんせんショートショートなので、分量がたまらない。……と、いろいろ苦労が多かったのだと思います。数年で廃刊になりました。

 センスのいい雑誌で、短期で廃刊なので巻数が少ない……ということで、全巻揃いで保存しているマニアもいるようです。やはり「伝説の」という枕詞が似合います。

 ぼくは同期の新人たちと、「今度持っていく?」「書けた?」「どんなの書いた?」「自信は?」「採用されるかなぁ…」なんて言い合いながら、何本も持っていきました。
 一人ではとても原稿を持っていく勇気はなかったでしょう。仲間がいたから持っていけた、と感謝している(採用率は低かったけど)。
 その中から二本が、この「ピンク」には入ってます。

男臭い雑誌「問題小説」

「問題小説」に書いた二本は、ショートショートではなく、短編と中編の間くらいの分量です。いわゆる中間小説誌の中で、「問題小説」は男臭い小説誌。藤井青銅の作風は不似合いです。
 が、同じ徳間書店の「アニメージュ」や「SFアドベンチャー」によく書かせてもらっていた関係から、ぼくにも時々声がかかりました。

 ぼくに、男臭いバイオレンスや官能モノは書けないので、笑いのある社会モノを書きました。テレビ業界モノ。広く広~く考えてもらえば、企業小説・サラリーマンものと言えなくもない……と自分で言いわけをしながら。はたして、問題小説誌の読者にどう受け止められたものやら?
 ここにおさめた二本は、登場人物は違えど、シリーズ作です。

 と書きながら、この「問題小説」も今はないことを知りました。現在はリニューアルして「読楽」という誌名だとか。

 結局、この電子書籍におさめた五作の初出三誌は、すべて今はないわけです。栄枯盛衰ですねえ。



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