77.お詫びして訂正します

 すべてのテレビ番組は、いかにして途中でチャンネルを変えられないかについて腐心している。先日もある番組会議で、ぼくたちはその手法について真剣に討議した。 

 ①前後の内容とは関係なく、ハダカのシーンを出す。
 ……伝統的な手法だ。2時間サスペンスドラマでは時報またぎにシャワーシーンがあり、水戸黄門では由美かおるの入浴シーンがある。あのドラエモンですら、しずかちゃんのお風呂シーンがあるのだ!
②「このあとタイヘンなことが!」とナレーションであおる。
 ……CMに入る前に行われる、これまた伝統的手法。
③たいしたことない映像をモザイクで隠す。
④たいしたことない発言を「ピー」音で消す。
 ……これは共に隠されるほど見たくなるというティーザー(じらし)作戦である。
⑤ニュース速報のピンポンを鳴らす。
⑥ただの風景映像に「新しい情報が入りしだいお知らせします」とスーパーを入れる。
 ……共に、伝えるべきニュースや情報がなくてもできたら、どんなにいいことか!
⑦「ただいま不適切な発言がありました。お詫びして訂正します」と言う。
 ……これをやられると「どこに不適切があったのか?誰がどんなイケナイことを言ったんだ?」と、気になってしょうがない。あれこれと考え「あっ、あの時のアレか!」と思い当たる(むしろその不適切な発言を印象づけてしまうのだが)。そして、もっと言うのではないかと期待が膨らんで画面を見続ける。これまた、詫びるべき内容がなくても言えたらどんなにいいことか! 

  以上が会議で出た数々の手法だ。いま思い返すと「いかにして番組を面白くするか」ということについては話が出なかったなぁ。 

【モンダイ点】
◎今回の文章に不適切な内容がありました。お詫びして訂正します。

(ステラ/1999/10/7)

お読みいただき、ありがとうございます。本にまとまらないアレコレを書いています。サポートしていただければ励みになるし、たぶん調子に乗って色々書くと思います! よろしくお願いします。