「ラジオな日々」 その2
この本に関しては、発売後いろんな方から、記憶に残る「言葉」をもらった。それを紹介します。
お互い、ラジオのいい時代を経験できてよかったですね。
作家・吉村達也氏の言葉。
吉村さんは、この本の中にも登場する。当時、ニッポン放送の編成部にいらしたからだ。ぼくとも話をしている。そのご転身し、ベストセラー作家となったのはご存知の通り。
「ラジオな日々」の書評を書いていただいたことから、二十数年ぶりに交流が復活した。とはいえ、メールでやりとりするだけだったが。その中で吉村さんが言ったのが、この言葉だ。他にも、当時の色々を思い出してのメールやりとりが、楽しかった。
その数年後、突然の訃報に驚くことになる。
青春小説――ただし恋愛抜きの、硬派な「仕事小説」。
作家・重松清氏の言葉。
重松氏と面識はない。氏が書いた『ラジオな日々』の書評を朝日新聞で見て、ビックリしたものだ。
たしかにぼくは「青春小説」を意識して書いていた。が、この本には、そのジャンルには不可欠な「恋愛」要素がない。実はこの点については、書いている時からずっと迷っていたのだ。
もちろん「恋愛」を入れることはできる。けれど、そうすると、この本のもう一つの狙いである「実録」性が、急に嘘っぽく見えるのではないか?…と逡巡しながら、結局、無理に恋愛を入れることはしなかった。
それが正解だったのか、間違いだったのかは、わからない。けれど、それをこういう風にズバリ指摘されたことに、ハッとした。
ラジオ好きと本好きは重なる。
作家・佐藤優氏の言葉。
佐藤氏とも、面識はない。正確にこういう言いまわしだったのか、記憶はあいまいだ。
というのも、実は佐藤氏がぼくの本について触れていると知ったのは、ずいぶん後になってからなのだ。いかに博覧強記とはいえ、硬派の作家が『ラジオな日々』を読んでいるなんて、思いもしなかったから。
『野蛮人の図書室』というのが、その本。色々なジャンルの書籍について書いている本で、その中の「ラジオ」という章での言葉。
この本だけでなく、作者の藤井青銅も褒めてくれていたので、恥ずかしくも嬉しかったのを覚えている。(現在は文庫で《「知的野蛮人」になるための本棚》と改題している)
ぼくとって記憶に残る言葉は、もう少しある。(続く)
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