発明と改良
あの黄門様、つまり水戸光圀が日本で最初に食べたとされる。
当時はどんな呼び名だったかはわからないけれど、要するにラーメンだ。光圀公は明から亡命してきた儒学者の朱舜水を招いているので、そこから伝わったという。
こんな歴史的事実を引っ張り出すこともなく、ラーメンというのは当然、中華料理だ。名前からして、そうじゃないか、と。
確かにそうではあるけれど…、と思ってしまう人も多いのではないか?
だって、たまに入る本格的な中華料理屋さんで、私たちは、
「さあ、本場のラーメンを食べよう!」
と思うかというと、そんなことはない。高い中華料理店には、それなりにおいしい「なんとか麺」なんていうメニューが沢山あるのだが、どうもそれは私たちがイメージするあの「ラーメン」とは違うのだ。
なにしろ、本家の中国・香港では、最近「日本式ラーメン」を食べさせる店ができ、おりからの日本食ブームに乗って、中国人が珍しがってどんどんやってくる、というのだから。どうやら、ラーメンは「日本食」扱いのようだ。
当の日本人だって、海外に行ったとき、日本食レストランに行って、
「これ、これ」
なんて言いながらラーメンを食べたりしているのだから、もう、なんだかわからない。
「ラーメンは中華なのか、日本食なのか? それが問題だ」
いささか自分たちを蔑みながら、と同時に誇りながら、私たちは日本人のことをこう言う。
「テレビでも、自動車でも、外国でできたものに改良を重ね、やがて、国際的な商品に変身させる。そりゃあ日本人には発明の才能はとぼしいかもしれないけど、改良の才能はある」
この、テレビや自動車の所に「ラーメン」という言葉も入れておいたほうがいいのかもしれない。さらに「カレー」も。
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