ご当地

 札幌、博多、尾道、和歌山、喜多方……。
 こんなものではない。まだまだ全国多くの街に「ご当地ラーメン」というものがある。ほとんど、街の数だけラーメンがあるんじゃないかと思うほどだ。

 そんな中で、地元にとっては普通でも、他からはちょっと変わったと思えるかもしれないものは…
 室蘭のカレーラーメン…その名の通り、カレーとラーメンの合体。
 八王子ラーメン…具に刻み玉ねぎがのっているのが特徴。
 横浜のサンマーメン…これは最近、だいぶ有名になってきた。麺にのっているのは秋刀魚ではなく、とろみをつけた野菜の、あんかけラーメン。
 台湾ラーメン…名古屋生まれなのに、なぜか台湾ラーメン。激辛ラーメン。最近では、これから派生した台湾まぜそばも人気だ。

 もうほとんど、「なにやってもいいじゃないか」という野放しの状態。しかし、考えてみれば、札幌の味噌ラーメンだって、最初は、
「ラーメンに味噌? 味噌汁じゃないんだから」
 なんて言われただろう。
 九州のトンコツラーメンだって、
「なんだこの濁った汁は?」
 と、不気味がられたかもしれない。それがいまや、全国的なメニューになっている。

 いや、そもそも、ラーメンの麺に欠かせない「かん水」だって、あれは元々、内モンゴルの「かん湖」という名前の湖の水でこねるとうまくなる、という「ご当地」の知恵だったという。
 さまざまなご当地の知恵によって進化してきたものが、ラーメンなんだと言えるかもしれない。まだまだこれから、食べたこともない新しいラーメンを味わえるかもしれない。

(以上「ラーメン」三題 2007/3/17 放送)

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