87.知らない顔

 野球シーズンが終わると、この国のスポーツニュースはやることがない。そこで、オフのプロ野球選手をスタジオに招いたりする。ここでぼくは困惑するのだ。なぜならば、司会者がそのゲストを紹介する時、
「さぁ、この方です!」
 と、さも当然という感じで言い、本人もまた、当然という形で登場するでしょ。だが、それがいったい誰なのかわからないからだ。

 ぼくはプロ野球にあまり関心がない。いや、そりゃ子供のころ草野球はやったし、マンガ「巨人の星」にもリアルタイムで感動した。甲子園の高校野球も好きだった。
 だが、なぜかプロ野球にはさほど興味がなかったんですね。なにせセ・パ12球団名をようやく覚えたのが高校生の時だから、これは日本人の男としては少しヘンかもしれない。
 だから今でも、顔がわかるのは数人の超有名な野球選手だけ。しかし、テレビに出ている知らない顔のゲスト名を見ると「そう言えばスポーツ新聞の見出しで見たことがある名前だ」と気付いたりする。話を聞いていると、チームの大黒柱で軽く一億円プレーヤーだったりする。
 それに、ゲストに呼ぶくらいだから大物に決まっている。でも(ご本人には申し訳ないが)、ぼくにとっては、ただの知らない顔なのだ。
――野球に興味がない女性視聴者の感覚というのはこんなだろうか、と思う。
 ひどい時は、
「知らない顔のゲストが、知らない顔の解説者に突っ込まれたりしている」
 のだ。
――異国でテレビを見ている感覚というのはこんなだろうか、とも思うのだ。

【モンダイ点】
◎野球選手ばかりでなく、巨乳グラビア系大集合の時や、ジャニーズ若手勢揃いの時もそうなのだが……。

(ステラ/1999/12/16)

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