214.格付け問題

 ムーディーズの国債格付けで、日本が二段階引き下げられた。
 日本はかつての最上級Aaaランクから、Aa3ランク(台湾・香港と同じ)へ、そしてさらにA2ランク(ポーランド、ラトビア、ギリシャと同じ)へと落ちたのだ。
 日本政府は「客観的な基準を欠く」「一私企業の格付けにすぎない」などと怒っている。
 怒るよりも、いい手がある。あらたに、同様な格付けをいくつも始めてしまうのだ。その際のポイントは、格付け基準を「いろは」や「甲乙丙丁」などと、ムーディーズとまったく互換性のないものにすること。
 すると、
「アメリカはAaaだけど乙甲乙。その点、日本はA2で甲甲2丙なんだから、エッヘン」
 と、なんだかわからないがエバれたりする。

 そういえば、日本には以前から「豊かさ指標」(新国民生活指標)というものがあるではないか。ほら、毎年福井県や富山県あたりが全国一位になり「なんであんな所が?」と(北陸地方に失礼な)物議をかもすアレだ。この指標も使う。
 かくして、
「アメリカはAaaで乙甲乙、豊かさ指数は56位で、初段黒帯で、さらにミシュランでは星二つ。これに対して日本はA2で甲甲2丙で豊かさ指数は3位で、三段、そのうえ堺シェフでは星二つ半ですっ!」
 などと、さらになにがなんだかわからなくなる。
 さまざまな基準の格付けが並列すれば、結果的に一つ一つの格付けの意味が薄れてくるのだ。

【モンダイ点】
◎ちなみにぼくは作家格付けではBB-の、丙甲甲3、豊かさ指数3800位の黒帯である。エッヘン!(なのか?)

(2002/6/26)

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