団地になった男 3
この本は、2002年に出版された。
その五年後(2007年)、最相葉月さんの『星新一 一〇〇一話をつくった人』という評伝が出版された。それによると、星さんが生前最後に小説新潮に連載しようとしていたのが「有名な人たち」という企画だったという。
これは、「個人名なのに、その由来が個人名だとは思われていないもの。メビウス、モールス、ベーリング…といった人々のエピソードを綴るコラム」と書かれている。
なんと、ぼくのこの本と同じなのだ!
まったく知らなかった。しかも、ぼくはこの本で、星さんが例にあげている「モールス」についても書いていたのだ。
星さんの連載は実現しないまま、1997年に他界している。
こんな事実を知ったら、そのまま放っておくわけにはいかないではないか。なので、残る「メビウス」「ベーリング」や、その他の言葉も追加した増補版を、ぼくは電子書籍で出した。タイトルは「語源にされた人々」。(出版社の都合で、この電子書籍は現在はない。どこか他で出したいものだが…)
なんだか大変おこがましいが、偶然にもぼくのこの本は「衣鉢を継ぐ」という形になっている。もっとも、天国の星さんは、
「いや、藤井さん。私の衣鉢ならば、ショートショートでしょう」
なんて、酔っ払いながら、笑っているだろうが。
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