「ラジオな日々」

 ぼくがおっかなびっくりラジオ局に出入りを始めた数年のことを元に、書いています。ジャンルで呼ぶなら「自伝的小説」でしょうか。
 できごとの順番や場所、登場人物などを変えている箇所もありますが、基本は事実に基づいています。

  当時のぼくは、まさにこの本に書いてある駆け出し作家の日々を、無我夢中で送っていました。でもその時から、もう一人の自分が「あ、これは小説になる」と思っていました。
  けれど、リアルタイムで書くと、自意識過剰な作品になりそうな気がしていました。少し時間を置いてから書いた方がよさそう、と思っていたのです。
 たとえば、40代になったぼくなら、20代の自分を小説の主人公として書けるのではないか、と。

 でも、ぼくがぐずぐずしていたせいで、書くのはもう十年ほど後になってしまいました。そのため、この本ができた時、本に登場するぼくにとって重要な二人の人物「星新一」と「ドン上野」は、すでに鬼籍に入ってしまっていました。

 お二人にこそ読んでもらいたかったのに…と残念な気持ちがあるけれど、いや、亡くなったことで背中を押されて書く気になったのかもしれない、とも思う。

お読みいただき、ありがとうございます。本にまとまらないアレコレを書いています。サポートしていただければ励みになるし、たぶん調子に乗って色々書くと思います! よろしくお願いします。