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クイーンズギャンビット、面白くないよね?

クイーンズギャンビット
5話まで観る。



数学が得意な孤児がチェスと出会ったことでその才能を発揮し全米チャンピオン、そして世界の頂点に上り詰める話

だと思うが、今のところ面白くはない。

恐らく、色んな作品を見てきたのでそういうストーリーだと思って説明が足りない部分は脳内補完し展開についていけてるが、強さや勝利の説得力が無いので観ていて爽快感がない。

チェスのルールを知らない者にとってはいかにすごい手を放ってるか、何が勝敗を決した要因か見せないと「え?もう終わり?あ、勝ったのね」で終わる。
勝利の余韻や達成感、ましてや主人公に感情移入しての勝利の喜びを感じる暇もない。さらに言うとこれは盤面をあまり見せないので、ルールを知ってる者も何が起きてるかよく分からないんじゃないか?

良い例として引き合いに出すとしたらヒカルの碁の「初手天元」「5の五」だが、
その一手がどんな意味を持つのか、これでもかと観てる者に分からせないと凄いのかどうかも分からない。





ハッとする手を打たれる。
打たれた方は「うわ!?そんな手が!」となると、相手が会心の一手を打ったことがわかるし「くそ!舐めやがって!」となると定石外れのトリッキーな混戦に持ち込まれたことが伝わる。
さらにダメ押しで周りが「は?何考えてんだ!?」という反応をするのも良い。あくまで自然に、何が起きてるか分からせてくれる。

クイーンズギャンビットの主人公の強さの理由がよく分からない。

計算能力がズバ抜けて高く、相手より何歩も先を読み切って勝つとか、終盤で驚異の粘り強さを発揮するとか、チェス歴が浅いからこそ前例のない手を臆することなく打ち込めるとか、誰も先の読めないゴチャゴチャの戦いに持ち込んでそこを打ち切る地力が強いとか、主人公の強さの秘訣を描いてくれないと、なんか異世界転生無双モノのように周りがスゲースゲー持ち上げてる物語を見てるのと大差ない。


ヒカルの碁の上手いところは、ただヒカル(佐為)が勝つだけでなく、負けた側が「なんだコイツは!」「もう一度お前と戦いたい!」「始めて一年でこの棋力、お前の強さの秘密は何なんだ!」と周囲の世界がザワつき、主人公が囲碁界に渦を巻き起こしていく様がただ勝つこと以上の興奮とワクワクを生み出していた。
特にライバルとなる塔矢は名人の父の下で英才教育を受け小学生ながらプロより強いという、競い合える対等な仲間のいない止まった世界を、ヒカルと出会ったことで動き始めるというもう一人の主人公として描かれており、序盤の佐為の幻影を追う塔矢はむしろヒカルより主人公らしい。
なので因縁の戦いが始まると、それまでの積み重ねもありどっちが勝つかも分からない緊張感と塔矢戦に限らずヒカルに魅了されたライバルたち誰と戦っても因縁のベストマッチ感を読み手に与える。

子ども囲碁大会のヒカルの(本当は佐為の)棋力を見た緒方九段がヒカルに目を付ける、実は初心者なのに塔矢を破った得体の知れない力を持ち塔矢も彼を追っている。プロより強いのに何故か中学の囲碁部に在籍し、周りからすると謎すぎる存在の主人公に翻弄されつつ、ヒカルに挑もうとライバル達が奮闘する。塔矢なんかプロ試験よりヒカル(ネット碁にいるsai)と戦うことを選ぶという、そこまでして戦いたいのか!という覚悟、熱さを感じさせてくれ、その戦いはどちらにも自然と感情移入させてしまう。


Netflixの短編シリーズでここまでは求めないが、1話目でダラダラと幼少期を描いてる暇あるならさっさと大会に出すべきだった。
無名の天才チェスプレイヤー現る!と鮮烈なデビューを飾り、その最初に出た大会で放った優勝を決めた一手が世界中のプレイヤーに衝撃を与え、世界ランク上位の猛者達が次々に彼女に挑もうとする、とか。
もしくは孤児院で数学の順位を競い合っていたライバルがチェスを始めて世界1になったのでそいつに勝つのを目標に弟子入りしたオッサンと世界中の大会に出まくって賞金稼ぎとして名を馳せていくとか、なんか目標というか、テーマが欲しい。
どんなに大当たりしても続編もつくらないリミテッドシリーズと言うのなら短編で描き切る何か、壮大な何かが見たいが、これにはそう言うものは見えない。

もうラストが近いが、これから国の代表としてソ連と戦う仲間を集め始めて5対5の団体戦に挑み、この代理戦争に負けたら死!!みたいな怒涛の緊張感ある方向に行ったら最終回だけはワクワクするだろう。さて、どうなるだろうか。

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