ごく私的な十二月の日記


12月は大変な月だった、
限られた日数に詰め込まれた仕事はめまぐるしく、リモートワークのコミュニケーションはすれ違い皆ぎすぎすしていた

親戚がコロナで死んだ 
詩人をしていた大叔母だった

非科学的この上ないことに 
遺体への面会も叶わず荼毘に付された

そして同時に母の心臓の状態が思わしくない
「基礎疾患持ち高齢者」のリスクとベネフィットを天秤にかけることは難しい
しかし今の私は彼女のコロナワクチン接種5回目はいったん止めざるを得ない
せめて主治医の心臓専門医の見解を聞いてからにしてくれという私の提言自体は非常に冷静なものだったとは思うが
耄碌し頑迷になった
親はコロナにかかったらどうしてくれると
私を責める

実家を訪問するだけでも、孫娘の声がかれていようものなら、
「まさか新型コロナじゃないだろうな!取り返しのつかないことにしてくれるなよ!マスクを二重にしろ!」

実家の集合住宅で、上の階に住む家族が
耳鼻科医をしていて何もかもを盗聴するのだと
父が言い張っており、ナチスから隠れるユダヤ人さながらに彼らはいま音を立てずに生活している
会話はすべて筆談で済ませている
最初は父がいよいよ心を病んだのだと考えた
定年し心折れた彼が羞恥と悔恨の情とともに物事を過大に解釈しているという筋もいまだ捨てがたい
しかし、そちらの耳鼻科医の奥様が室間添随症だ、という
のもある程度事実のようだ
父は法律を勉強中で、裁判所への陳述形式で上の一家への行動を記した、奇妙な怪文書を私に郵送で送り付けてくる

夫とは深刻な離婚話がいちどは落ち着いていた

しかし彼はおそらく、流行りのASDとかギフテッドとか何やらそういう存在であり、その性質により社会的に成功した人間だ


(驚く話ではなく、私の周囲で知能検査をすれば頻出の値なのだ、言語論理の分野の知能指数が高い人間に名付けるような病名なのだから当たり前以上の感想が出ない)

彼は私が泣いていたり落ち込んでいる
と著しく不快な表情を示し
怒鳴りつける習性で知られる
彼には理解できず処理できない感情なのだ
処理できないものに対して怒りの感情が噴出し
せめて3秒間抱きしめてくれと懇願しても叶わない

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