乱伐の追加部品A

こんな時にぶしつけですが
少しお目汚しを失礼します

あの日から随分と時は経ってしまいまして
もう君は何も覚えてないかもしれないけれど
やっぱり少し希望を抱いてしまって
この乾いた街の屍をまた独り彷徨って
生暖かい空気に身を任せて
深く呼吸をして地面を踏みしめて立っています

いつか哀しみが夜空を翔けるけれど
静かな暮らしをまた望むけれど
終わりのない木々の箱庭の
何処にも居場所は無いけれど
君と最高だって笑いあえたら
君とあの日についてまた話せたなら

あの頃4歳だった僕に誰かが
テレビの向こうからこう語りかけます
素晴らしいんじゃないですか
素晴らしいんじゃないですかって

君のか細いギリギリの息が混ざりこんだ
空っぽになりかけた僕の感情が
ゆっくりとゆっくりとセメントの壁に描かれていく
言えなかったんじゃないですか
癒えなかったんじゃないですか

町と街のレイヤーが川の流れに乱反射して
山の麓のコンビニがカラフルなネオンに光っている

大きなサイレンの音で目を覚ました河川敷の僕が目にしたのは、この町を覆う木々の蓋が真っ赤に燃え上がる様だった。

「おはよう」


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