ひよこまんじゅうの箱は 花柄で六角形 真ん中にひよこの絵 子供のときの宝箱 きれいな色彩と やさしいタッチが たまらなく大好き 毎日引き出しから 取り出しては眺めて …
からっと乾いた洗濯物 まだ温かい干したてのふとん 走って腕に飛び込んできた子供 夏の暑さに負けないひまわり 肌寒い日の窓辺で日向ぼっこ 太陽のにおいはそばにある…
思い出すのは なつかしい味 でもなく あたたかい食卓 でもなく 延々と小言を 聞かされて おいしくなくなった 筑前煮のこと 具材が減ってきて 見えてきた 出汁に浮かぶ油 …
目をぱちぱちさせて 世界を見れば 手をぱちぱちと たたきたくなる 景色が見える 線香花火がぱちぱちと きらめいて やがて消えて せつないと知る 泡がぱちぱちと はじけ…
すぐに捨ててしまうような ものばかり買ってしまうよ 有り余る豊かさが 時間とコストの パフォーマンス トレンドに憑りつかれて お肌の水分と映えるか否か 身も心もカラ…
幸せを 貯めておいて いつでも 取り出して 使えるなら 苦しい時も なんとかなるかな 今のうちに 遊んでも 今のうちに 休んでも なるようにしか なってない 負けてもくじ…
雨粒が 脈絡もなく 室外機の上で ステップ 眠りから 引き剝がされて ささやかな苛立ちに 寝返り 今日が窓辺に 貼りついて 帰る気配も 見当たらない 朝が来たとて 曇り窓…
花びらが 春を連れて 帰っていく 陽の光に笑い 雨と一緒に泣き 雷に肩をすくめ 風と遊び楽しむ 水色に晴れて 桃色に満ちる あるがまま 笑顔も涙も 何十年 何百年と 見守…
ため息つくとき うまくいかなくて ため息つくとき うんざりしてて ため息つくとき さみしくて ため息つくとき 焦がれてて ため息つくとき 一気に吸って 長く吐く 一度…
何の味もしない日々に 全部持ってかれた じわじわと奪われる 生命と感受性 やり場のない感情で 血管が焼け焦げそう 舌が動かぬ口に キャラメルサイズの肉 喉の渇きにスト…
大事な人の 寝ぐせまで 愛しい日がある 憎い人の 手相まで 苛立つ日がある 生きてて よかったと 感謝する日がある 生まれてきた 意味が分からないと 嘆く日がある 平凡…
ならんで座った夕方も コーヒーがぬるくなっても 黙って人のを一口食べてても 笑わせようとしたモノマネも 昨日のように思い出す 覚えてない 忘れてもいいような 確かに色…
雨と人は どこか似ている みんなでひとつだったところから 地上でひとつに分離する 時間が終われば元のひとつに還る 多すぎる雨 降らない雨 大きすぎる思い 枯れて尽き…
春の瀬戸内 空を溶かした 海に島並 水平線に 負けじと 鳥が並んで 点線を描く 通る船が 波を呼び 水面を踊る 見えるものは ただそれだけ 風に歌うことも 空に飛び跳ねる…
夕陽が帰って 窓の外 寝転ぶ畳 見つめる天井 蛍光灯 長いひもに 手を伸ばす 一度引けば まぶしくて 二度引けば 丁度よく 三度引けば 豆球オレンジ 四度引けば まっくら…
出がらし みたいに 誇らしく あれたら 暗い底から 出れるかな ふたが開くのを 待っている 熱いお湯を得た 茶葉のように 色や香りと 踊りながら 時が来るのを 待っている …
sayamaru
2024年5月31日 19:50
ひよこまんじゅうの箱は花柄で六角形真ん中にひよこの絵子供のときの宝箱きれいな色彩とやさしいタッチがたまらなく大好き毎日引き出しから取り出しては眺めてたぶん最初のときめき箱の中にはサンリオのシールりぼんの付録のレターセット透明ジェルみたいなシールセボンスターのペンダント桃の香りの丸い粒々瓶に入った星の砂大事にしすぎて使うことなくなくなった宝物もったい
2024年5月24日 18:49
からっと乾いた洗濯物まだ温かい干したてのふとん走って腕に飛び込んできた子供夏の暑さに負けないひまわり肌寒い日の窓辺で日向ぼっこ太陽のにおいはそばにある洗いたてのふかふかになった犬その胸に顔をうずめて鼻をこすりつけてじゃれ合ったあとに「ワン!」と叱られてしょんぼりする今はもうできないけれど思い出せばすぐそばにある私の太陽のにおい
2024年5月17日 19:45
思い出すのはなつかしい味でもなくあたたかい食卓でもなく延々と小言を聞かされておいしくなくなった筑前煮のこと具材が減ってきて見えてきた出汁に浮かぶ油まあるい油は水玉みたいで小さな円と円の境目をお箸でつついてひたすら大きくしてやり過ごすのが任務少し甘めの出汁も耳が痛い話も全部子供のためだった親になった私の任務は思い出してもらえる記憶をいっぱい作ること
2024年5月9日 21:17
目をぱちぱちさせて世界を見れば手をぱちぱちとたたきたくなる景色が見える線香花火がぱちぱちときらめいてやがて消えてせつないと知る泡がぱちぱちとはじけるように案外と短い時を薪がぱちぱちと燃えていくように生きられるといいよね
2024年5月1日 19:24
すぐに捨ててしまうようなものばかり買ってしまうよ有り余る豊かさが時間とコストのパフォーマンストレンドに憑りつかれてお肌の水分と映えるか否か身も心もカラカラ栄養失調見返りなく意図なく与えること受け取ること大人の中に入ってる子供が今日も困ってる目には見えないものが見えない世界で暮らせて本当に良かった生きてるけど限りなく死んでる生ゾンビみたいな私今日
2024年4月25日 18:37
幸せを貯めておいていつでも取り出して使えるなら苦しい時もなんとかなるかな今のうちに遊んでも今のうちに休んでもなるようにしかなってない負けてもくじけても腐ってもひねくれても痛くても辛くても悲しくても疲れ切っても理不尽でも納得できなくてもそれでも最善を尽くして今を積み重ねてよく頑張ってくれてありがとう何年も前の自分よすべての伏線を回収するため
2024年4月21日 20:10
雨粒が脈絡もなく室外機の上でステップ眠りから引き剝がされてささやかな苛立ちに寝返り今日が窓辺に貼りついて帰る気配も見当たらない朝が来たとて曇り窓体中の水が濁っていくような毎日を雨で洗い流して新しくなった明日を着たい
2024年4月17日 21:31
花びらが春を連れて帰っていく陽の光に笑い雨と一緒に泣き雷に肩をすくめ風と遊び楽しむ水色に晴れて桃色に満ちるあるがまま笑顔も涙も何十年何百年と見守ってきたのねここから動けない体見ているだけの体似たような私どうすることもできなくて悲しいのは似てないな大事な人を抱きしめることも両手で顔を包むことも背中をさすることも私には出来ませんそれでもこ
2024年4月15日 10:25
ため息つくときうまくいかなくてため息つくときうんざりしててため息つくときさみしくてため息つくとき焦がれててため息つくとき一気に吸って長く吐く一度で終わればそれはため息繰り返したら深呼吸すーいらないものを集めたらはーすっきり出して元通りすー新たな空気取り込んではー切り替え完了リスタート力を抜けばうまくいく流れに任せて
2024年4月12日 21:32
何の味もしない日々に全部持ってかれたじわじわと奪われる生命と感受性やり場のない感情で血管が焼け焦げそう舌が動かぬ口にキャラメルサイズの肉喉の渇きにストローでちびちび飲む水満足感には程遠いよくも打ちのめしてくれたな数々の屈辱を悔しさを悲しみを私はずっと忘れないというわけでいい人のフリはやめました病の背中にドロップキックを心無い言葉にかかと落としを
2024年4月9日 21:54
大事な人の寝ぐせまで愛しい日がある憎い人の手相まで苛立つ日がある生きててよかったと感謝する日がある生まれてきた意味が分からないと嘆く日がある平凡すぎてヒマな日もコントラストに疲れる日ももう死にそう生きてたから思った全部知ってた生きてたから知ってたどんな日も頑張った自分よありがとう
2024年4月2日 21:15
ならんで座った夕方もコーヒーがぬるくなっても黙って人のを一口食べてても笑わせようとしたモノマネも昨日のように思い出す覚えてない忘れてもいいような確かに色があった時間記憶に残らない無限に思える無駄をぜいたくに使い捨てて行こう人にしかできないからそれでいいの忘れていくのは失うことと同じでもないいすに座って思い出す
2024年3月27日 20:54
雨と人はどこか似ているみんなでひとつだったところから地上でひとつに分離する時間が終われば元のひとつに還る多すぎる雨降らない雨大きすぎる思い枯れて尽きた思い欠けたら満ちて満ちたら欠けるずっと同じでいられないどこから来たのか帰るのかそれは誰にも分からない土に還る海に還る空に還る傘もささずに踊るよ意味もなくむやみに心揺らそう際限もなくその日
2024年3月21日 16:30
春の瀬戸内空を溶かした海に島並水平線に負けじと鳥が並んで点線を描く通る船が波を呼び水面を踊る見えるものはただそれだけ風に歌うことも空に飛び跳ねることも私にはできないいま息をしているただそれだけ
2024年3月11日 15:39
夕陽が帰って窓の外寝転ぶ畳見つめる天井蛍光灯長いひもに手を伸ばす一度引けばまぶしくて二度引けば丁度よく三度引けば豆球オレンジ四度引けばまっくらけもいちど引いたら明るい世界になってるかな蜘蛛の糸みたいな蛍光灯のひも一人と言わずみんな助かれ
2024年3月7日 19:20
出がらしみたいに誇らしくあれたら暗い底から出れるかなふたが開くのを待っている熱いお湯を得た茶葉のように色や香りと踊りながら時が来るのを待っている二煎目はない人の命に思い巡らせ今このときを味わってできることをできるだけして出がらしになりたい