見出し画像

「カフカ断片集」カフカ、頭木弘樹編訳(読書備忘録)

新刊情報を見て読みたかった本、しかも文庫!うれしい。

書名:「カフカ断片集」
著者:カフカ、頭木弘樹編訳
出版年:2024年
出版社:新潮文庫

訳者の頭木さんが「絶望名人カフカの人生論」を出されているけれど、カフカ、本当にずっと絶望している。

他人に認められたいよりも、書かずにはいられない人なのだと「祈るように書く」という一文で心底納得してした。

断片集なので、…どういう意味?何を思ってこの言葉が出てきたの?という言葉も多いけれど、物語としてきれいに構成され清書されたものよりも、野性的な混濁している感じが生々しい。
ずっとこんな思いを抱えて生きているのは苦しいだろうな、とか、吐き出してくれたからこそ時を超えて共感できる言葉が残っているありがたさとかいろんな思いがぐるぐるめぐる。

悪は善の星空だ。

抑圧されている者たちに対して、特権を持つ者たちは、その責任を果たすと言って配慮してみせるが、しかしその配慮こそ、特権を維持するためのものにほかならないのだ。

時を超えて共感できるって本当に奇跡。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?