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バッファロー'66(映画鑑賞備忘録)
初めて見たのは映画館だったかレンタルだったかよく思い出せない。
ただ、映像がひたすらおしゃれでスクリーンに映る尖った人たちに圧倒された記憶しかない。
正直、ストーリーはよく理解できなかった。
なぜ主人公ビリーはあんなに不安げで心許なくて常に苛立っているのか、ビリーに拉致された女性レイラはなぜ逃げ出さなかったのか。
今回、20数年ぶりのリバイバル上映で改めてヴィンセント・ギャロ監督の世界に浸ることができた。
カメラワークとか物語のつなぎ方がとても印象的。
特に主人公ビリーとレイラの心が不器用に近づく場面で時間の経過を表すような白い画面が何度も映って紙芝居のような、一時停止の多いパラパラ写真のような映し方がとても好きだった。
ざらざらとした質感で夜の街を感じる退廃的な色味、目を引くメイクや服装なのに風景になじむ二人が本当に素敵だった。
+++++以降、ストーリーに言及+++++++++
気になったのは、ビリーの家族や「友人」が全くビリーに向き合っていないことだ。かみ合わない会話、後ろめたさや隠し事なんてないようなふりをして向かい合って座りつづける居心地の悪さがスクリーンからにじみ出る。
息子から、自分から、現実から目をそらしている親と求めるばかりで差し出すことをしない孤独を煮詰めたビリー。
あきらめた人の投げやりな空気がリアルすぎた。
そんなビリーもレイラと出会い(拉致だけど)、関わりを通してかすかな変化が現れる。
ビリーを受け入れるレイラも孤独な人なのか、雨に濡れた捨て猫を放っておけない、そんな気持ちなのか…
この点は約20年前と同様、よくわからなかった。
++++++++++++++
長い歳月を経て、同じ映画を見て感じ方がこれほどまでに変わるのかと自分自身の変化にも新しい発見があった。
リバイバル上映、本当にありがたい。
映画館で見る映画はいつも本当に素敵なものだ。
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