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ネタバレなし「ラストマイル」(映画鑑賞備忘録)

公開:2024年 日本
監督:塚原あゆ子

アンナチュラルの大大ファンで公開を指折り数え、SNSから余計な情報は入れないように細心の注意を払ってようやく鑑賞した。

感想は、「もう一回みたい。」
一回目は、ストーリーを追うのに必死なのにアンナチュラル、MIU404のメンバーが出てくるたびに感情が溢れ出て情緒がおかしくなった。
2回目観るときはもっとしっかり冷静にストーリーや演出を堪能したい。

映画自体はたくさんの感想にもあるように、ドラマを知らない人でも楽しめて、後でドラマを見返したくなる作品だった。
ドラマを知らない人には、脇を固める俳優陣がやたらと豪華でどうしたどうしたとなると思う。それくらい豪華。

CMで流れていた爆破シーンは、テレビで見たときはちょっとちゃっちいかもと心配していたけど、すごくリアルでした。
し、映さないことで感じられる怖さもあって迫力がすごかったです。

物流がテーマのように言われていたけど、物流を仕事として担っているひどだけでなく、私たちも物流の一部だと感じられた。

働く人の視点からみると、誇りを踏みにじられた人が這いつくばって生きる物語で、登場人物全員に何かしら自己投影してしまう。
大切にされない、蔑ろにされる、それを自覚しているけど止められないし離脱できない。
取り替え可能な歯車の一つ、取るに足らない存在のブルーカラーたち。
そして、ホワイトカラーもまた取るに足らない存在で歯車の一つであることが見えてくる。

ずっと切ない、ずっと苦しい、無力感が根底に流れつつ、鑑賞者の私はどこかに希望は落ちてないかと探すように見ていた。

そして、主人公に腹が立ったり、共感したり、嫌な奴の嫌な部分とほろっとくる部分に心鷲掴みにされたり。
全員が犯人っぽくて疑心暗鬼になったり。
情緒がジェットコースター。

物語のかけらが後半のピースにはまっていく感じもすごかったけど、伏線回収という言葉は使いたくない。
そんなご都合主義ではない。

アンナチュラル、MIUの世界もそのまま続いているという安心感。
物流業界に象徴される、疲弊してもなお止まれない、止められない社会に私たちはどう向き合うのか。

傍観者、無関心でその先にあるのは何か。

鑑賞後、私たちに託された問は重い。

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