「口の立つやつが勝つってことでいいのか」頭木弘樹著(読書備忘録)

「口の立つやつが勝つってことでいいのか」
頭木弘樹 著
2024年 青土社

タイトルを見ただけで購入したが、タイトルについて解説するものでもなく、答えが用意されているものでもなかったが、うれしい誤算だった。

言葉が文脈を飛び越えてあり得ないほどの重さを持ち凶器になる今、「言葉って何だろう」から一歩踏み出し、言葉を受け取る私たちについて、そして言葉にできないものの価値や意味を改めて考えてみたくなるエッセイ集だった。

わかるわかると思いながら付箋をつけていたら付箋だらけになってしまった。
学級委員長的な「正しさ」のバッドを振り回さないこのエッセイ、共感しかない。

人は「今」だけを生きるのは、苦しいときがある。「今を生きろ」という格言が、逆に耐えがたいときもある。

p.174「口の立つやつが勝つってことでいいのか」頭木弘樹著

格言というのは、格言だけあってとても正しく理想的。
でも、それができないから苦しい。この苦しさを「そうそう、そういうことってあるよね」と肩をたたいてくれるようでほっとした。

途中途中で書籍の引用があり、それを読むのも面白い。
芋づる式に興味の世界が広げてくれた。

読み終わってから気づいたけれど、「自分疲れ」(創元社)の著者だった。


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