ロスト・キング500年越しの運命(映画鑑賞備忘録)

2022年 イギリス
監督:スティーブン・フリアーズ
主演:サリー・ホーキング
ロスト・キング 500年越しの運命 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

存命の方の実話を元にした映画というのは難しい。
主人公を引き立てるためにいろんなことを誇張する。
敵対する人もその狡さを誇張されがちだから。
そんなことを思いながら、ちょっと引いた目で見始めた。


■ストーリー■
仕事も家庭でも行き詰った中年女性
ある日、子供の付き添いで観劇した「リチャード3世」に心奪われる。
リチャード3世の不当な評価と自分の状況を重ねるものの、
歴史上の評価に疑問を感じた主人公が、まだ見つかっていない
リチャード3世の遺骨を探す中で様々な人と出会い、
彼の謎を解いていくもの。


サリー・ホーキング演じる神経質で繊細で壊れそうな女性が、
弱さを抱えながらも粘り強く信念を貫く姿が印象的だった。

主人公が出会う人の中には、味方もいれば対立する人もいる。
馬鹿にして軽く扱いながら成功の予感をすると手の平を返す人もいる。
手のひらを返した後、成功を横取りし、また人をぞんざいに扱う。
人を自分の「得」になるかどうかでジャッジする人、いるよね。

職場の中年女性の描かれ方が涙なしには見られなかった。
意見を言うと、「小うるさいおばさん」
ポジションを主張すると、「若者のチャンスを阻害する存在」
他人ごとではない。
頑張る中年女性、熱中する様子を揶揄したり、恥ずかしいものを見るような空気は、私も「知っている」。

ノンフィクションをフィクションを混ぜつつ映画として見せる難しさよ
・・・なんてことを素人の癖に偉そうに思っていたのだが。

主人公の目線や手の動きに完全に引き込まれた。
不安な時の表情、空をつかむような手の動き、
四面楚歌の空間での所在なさげな様子や自分を奮い立てる様子

最後の最後まで心折れるエピソードが続く。
それでも、奮闘する中年女性の「それでも」前を向く強さ、
ささやかでも大切なものに目を配る凛とした姿に圧倒された。

ちなみにリチャード3世の謎…は、
そこまで詳しく描かれていなかったし、私の興味も後回しになった
帰宅後ネットで確認し解決。




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