「永訣の朝」 宮沢賢治

中学の教科書で知った詩

「あめゆじゆとてちてけんじや(雨雪を取ってきて、、、賢治や)」のフレーズが好きで最初の3行だけ何度も読んだ。

ただ、「あめゆきとてちてけんじゃ」と思っていたな。
最後のところは、”賢治や”なのか。うろおぼえだったな。
本当に好きだったのかと問われれば私の脳スペックの問題なのでとしか言えない。

死にゆく妹と兄の静かで悲しみで満ちた部屋で交わされる言葉、そこには兄が妹を想う、妹は兄に全幅の信頼をおいているような、温かく柔らかいものを感じた。

尖った題名とは裏腹な、悲しみの中にある多幸感。
悲しくて胸が張り裂けそうだけど幸せで満ちている、という一見相いれない正反対の感情が同時に起こるものなのかと目を見開いた。

改めて読んで、今度は最後の3行に心つかまれた。
死にゆく妹の幸せを自分のすべての幸いをかけて願うという言葉。
慈愛。
どうしたらこのような思いを持った人間になれるのか。

「どうかこれが天上のアイスクリームになつておまへとみんなとに聖い資糧をもたらすやうにわたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ」
宮沢賢治 『春と修羅』 (aozora.gr.jp)

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