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きっと、それは愛じゃない(映画鑑賞備忘録)

2023年 イギリス
監督:シェカール・カプール
きっと、それは愛じゃない : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

クリスマスシーズンは愛に関わる映画を見たくなる。
ラブ・アクチュアリーは大好きな映画の一つ。
実る・実らないに限らず愛情にはいろんな形があって、クリスマスはいろんな過ごし方がると教えてくれた映画だった。

この「きっと、それは愛じゃない」では、主人公の俳優のリリー・ジェームズさん、どこかで見たことがあるなぁと思ったら、「ダウントン・アビー」や「偽りの忠誠ーナチスが愛した女」に出てる方だった。

不器用だけどわき目も降らずに突き進む役が本当によく似合う。
美しくてかわいらしい女性だけど、おんなおんなしていない、また性的な感じがしない俳優さんだった。

ストーリーはシンプル。
主人公はイギリス人女性だけれど、彼女はあくまでもストーリーテラーで本当の主人公はパキスタンからの移民家族かもしれない。
彼らのイギリス社会での暮らしや移住したが故のパキスタン本国に住むパキスタン人とも異なるアイデンティティ。
移民2世としてのアイデンティティなど目に見えない世代間のギャップが丁寧に描かれている。

物語は、ドキュメンタリー映画監督の主人公が、幼馴染が結婚に至る過程を追う作品制作を通して自分自身が持つ恋愛観や結婚観を見つめるというざっくり言えばそういうストーリー。

ただ、パキスタンの彩りあふれる結婚式の映像美や主人公が撮影するドキュメンタリーで語られる言葉と現実の乖離、見せたい自分と本当の自分との乖離など、人生や社会、国、宗教は一言では語りえない理想とするものと現実との違いがそこかしこに描かれていた。

幼馴染として同時代を同じ国で生きてきた主人公とパキスタンルーツの青年。
彼らも共通する思い出を持ちながら、お互いが知らない断絶した記憶を持っていることが吐露されるシーンは、「知らない、想像だにしなかった無知と無知な自分への恥ずかしさ」を主人公と一緒に味わうことになり心が痛んだ。

最後に。
主人公の幼馴染の青年の妻がとても良かった。
本当に、唸るほどよかった。
環境、立場、見る角度、そんなものによってこれほどまでにこの人の見方が変わるのかと目からうろこだった。(相変わらず語彙力不足ですが、本当に必見)

それなりの年齢になったら恋愛しなければならないという呪縛にかかっている人に少し立ち止まる余裕を持たせてくれる人間ドラマだった。
正直、最後は個人的には・・・うーん・・・まあ映画としてはそうなるでしょうねという感じでした。

正直、恋愛ってめんどくさくないですか?(私は面倒だと思う派。性物になる自分とそういう風にみられるのがすごく嫌)
恋愛してもしなくても、得意でも不得意でもいいよね、そういうのがなくても家族が欲しいと思うことはありだよね、というのを円陣組んで確認したくなる映画でした。

追記
パンフレットで脚本家のステートメント(声明)が掲載されていたのだけれど、彼女自身の歴史とパキスタンへの思い、現在地から発せられる言葉がとても力強かった。
監督からのメッセージに続いて、脚本家と監督等の発言をまとめた文章があったが、誰がどの資料をまとめて書いてたのかがわからず困惑。
監督のインタビューをまとめたものかと思いきやそれも違うかったので読んでいる途中、迷子になってしまった。

https://eiga.com/movie/99196/gallery


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