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「仲良くすること」も教えられる

さやか星小学校 教務主任・第1学年担任 島岡次郎

「友達と、仲良く遊びましょう」は、大人が子供に(特に教師が教え子に)言う回数が最も多い言葉かもしれません。私もずいぶんとたくさん言ってきました。誰とでも仲良く遊べる子供になってほしい。自分の子供にも、教え子に対しても、誰もがもつ願いだと思います。しかし、どうすれば友達と仲良くできるのか。それを行動として教えることは、ほとんどないのではないでしょうか。でも、「仲良くする」ことだって、教えられると我々は考えます。そのためには、「仲良くする」とは、どのような行動なのかを考える必要があります。これを、課題分析(抽象具体分析)といいます。

どのような行動ができれば、「仲良く遊べている」と判断するか。私は、「友達を遊びに誘い(友達に誘われたら参加し)、一緒に同じ遊びで遊ぶことができる」と定義しました。そのためには、「友達を遊びに誘う」という行動と、「誘われたら『入れて』とか『良いよ』と言う」という行動ができること。そして、みんなで遊べる「遊びのレパートリー」があることが必要になります。そこで、学級活動の中で、「◯◯をして遊ぼう」と友達を誘う行動と、誘われたら「入れて!」と言う行動を練習しました。また、子供達が全員参加できる遊びのレパートリーを調べ、遊び方を知らなかったり、ルールが曖昧だったりする遊びに関しては、遊び方を練習しました。練習をしたら、日常生活の中で般化場面を作ります。今回は、体育館で過ごす中休みを般化場面にしました。

遊びを提案し、友達を誘う役割は、1年生全員が輪番で経験します。遊びは、みんな遊び方をわかっている遊びの中から事前に選んでおきます。担当の子供は、力の限り大きな声で「◯◯して遊ぼ〜!」と叫びます。それを聞いた子供達は、体育館のどこにいても「良いよ〜!」「入れて〜!」と言いながら集合します。授業の中で楽しく遊ぶことができたので、子供達は安心して参加することができます。

もちろん、子供達任せにすることはせず、私も遊びに入り込んで、必要があればアドバイスをします。ここまでは、「おしくらまんじゅう」「だるまさんがころんだ」「氷鬼」で遊びました。どの時間も、とても楽しく遊ぶことができました。この成功体験が、次の遊びをさらに楽しみにします。誰でも遊びに誘える、誰が提案した遊びにも参加できる。こうした風土・文化が形成されれば、結果として「誰とでも仲良く遊べる」というスキルが身につくのではないかと考えています。事実、遊びを提案する児童を設定していない休み時間でも、必ず誰かが「◯◯して遊ぼう!」と遊びに誘い、全員で遊ぶことができています。つまり、般化が起きているのです。

さらに、思わぬ副産物として、異学年交流も発生しました。3・4年生の子供達が、「入れて!」と遊びに参加してくるのです。もちろん、1年生の子どもたちは「良いよ!」と答えます。結果として、体育館のほぼ全児童が、同じ遊びをして楽しむという姿が見られました。こうした経験の積み重ねが、「友達って良いな」「友達を大切にしよう」という「思い」につながっていくと私は信じています。

さやか星小学校では、教えたいことがあったとき、約束を教示するだけで終わることはありません。今回のように、必ず適切な行動を練習し、強化します。これは、不適切な行動を自発した児童に、適切行動を教える際も同じです。さやか星小学校は、これからも「言いっぱなし」の指導に終わることなく、行動の原理に基づいて子供たちの学びを支えていきます。


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