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離婚のご報告

昨日、私の最終学期がついに終わった。今期履修していた授業の論文も最終プロジェクトも無事提出が完了し、あとは卒業式に出るだけだ。初めての留学、初めての海外生活。本当に刺激的で、あっという間の2年間だった。


卒業のご報告の前に、別のご報告がある。
実は、今年の1月に夫とお別れをした。

ちょくちょく私の発信に出てきていた彼だったので、いつも応援してくださるみなさんには知っておいていただこうかと思い、この記事を今書いている。誰も興味ないかもだけど、少しだけ背景を説明してみようかと思う。興味がある方だけ読みすすめていただけたら。

4年間にありがとう

2020年のコロナ禍に結婚し、2021年春に私のコロンビア教育大学院への留学が決まって「俺も一緒に行く!」と言って仕事を辞めた彼と一緒に渡米した。ニューヨークでは1年半、一緒に生活をした。

とても仲が良かった私たちだったが、去年の夏、初めて喧嘩らしい喧嘩をした。彼が日本に一時帰国していて、私がヨーロッパに一人旅に出ているときだった。

喧嘩の内容はたいしたことではなかったのだが、これを機に、ふたりで将来のことをずいぶんと話し合った。子どものこと、仕事のこと、今後どんなふうに生きたいか、いろんなことを話し合った。どうやら、もともと一緒のビジョンを描いていたはずだったのが、住み慣れた環境やコミュニティを離れて異国の地に住むというユニークな状況にしばらくいたことによって、お互いに価値観や人生観が少しずつ変わったようだった。

とはいえ、相変わらず仲は良かった私たちだったので、じゃあすぐ離婚しようというのもなんだかなあとなり、カップルセラピーを始めてみた。英語が話せない彼なので、知人に紹介してもらった日本人のカップルセラピストさんにもZoomで参加してもらって、週に一度話し合いを設けた。

弁が立つ私と無口で自分の気持ちの言語化が苦手な彼が向かい合って真剣な話し合いをすると、どうしても私が喋りすぎてしまう傾向にあったので、客観的に会話をコントロールしてくれる第三者が入ることで、いいバランスで建設的な話ができるようになった。もともとお互いに感情的になって怒ったり泣いたりするようなタイプではなかったが、いつも以上に冷静にスムーズに話が出来た(これまじで全カップルにおすすめしたい!)。セラピーのセッション中以外は、こういうちょっと気が重い話は全くしないことにして、二人でいるときはいつも通り笑って過ごした。

決意の帰国

セラピーを続けて約半年が経った去年の11月、私から彼に提案をした。もう既に航空券をとって一緒にする予定でいた日本への帰国、あなたは一時帰国ではなくて、そのまま日本に残ったらどうか?と。私はひとりでニューヨークに帰って、一人で暮らすから、と。

ニューヨークにいる彼を見て、やっぱり彼には住み慣れた環境とコミュニティの中で、彼の能力を活かした仕事をまたしてほしいと思った。憧れだったニューヨーク生活だって、実際に住んでみたら思っていたのと違ったこともたくさんあっただろうし、彼の気持ちもいろいろ変わった部分もあったようだった。1週間後、「先週もらった提案だけど、そうしたいと思う」という彼からの返答があった。

こうして残りの一学期(1月〜5月)は私一人でニューヨーク生活をすることに。早速、彼と一緒に住んでいたファミリータイプの寮から、他の4人のルームメイトとキッチンやシャワールームをシェアするタイプの寮に引っ越しを済ませた(二人で住んでいたところに一人で戻ってきて住むの精神的にきつそうだし、そもそも家賃高すぎだし)。

1年半お世話になった寮

そして昨年末、彼の荷物を全部持って一緒に日本行きの飛行機に乗った。日本に滞在中には私の妹の家に一緒にお世話になって、その間に彼は新居や仕事を探した。

本当はしばらく別居してから決めようかという話もあったのだが、なんとなく、ふたりとも結末は見えている感じがした。将来描いているビジョンが違うのは、同じチームとして致命的なことだった。お互いに強要もしたくないし、じゃあ、チームを解消して別々に生きていったらいいじゃないか、とこの頃には静かに思えていた。

それで、私がニューヨークに帰る飛行機に乗るその当日に、ふたりで離婚届にサインをし、提出した。彼には見送りには来てくれるなとお願いし、お互いに感謝を伝えてお別れした。

空港には、ばあちゃん、母、妹夫婦が来てくれて、私が見えなくなるまでずーーーっと手を振って見送ってくれた。このときだけ、私もちょっと泣けた。

それにしても一生泣いてる母

自分の人生の舵をとる

やっぱり離婚は勇気のいることだ。もちろん結婚したときは、お互いに残りの人生を一緒に生きる覚悟を持ってしたわけで、家族だった人と家族でなくなるのはとても不思議で、受け入れるのに少し時間がかかるもの。でもやっぱり私も彼も、自分の人生を好きなように生きていくことを選んだ。憎んでもないし、恨んでもいない。ただ、元々一緒だったビジョンがずれたというだけ。

私はひとりの大人の女性として、自分の人生の舵は自分でちゃんととって生きていきたい。そもそも家族であっても別々の個人なわけで、感じ方も考え方も違う。家族は「チーム」なわけなので、同じビジョンを持っていて、お互いに支え合いながらも、それぞれ個人の人生だって謳歌していいはずだ。それが出来ていないなら、チームで話し合うべきで、ビジョンが違ってきたり信頼し合えなくなっているなら、チーム解消だってひとつの選択肢であって当然だと私は思う。

そして、人の気持ちは不変でもなければ予測も出来ない。その時々で自分と相手の気持ちにちゃんと向き合って受け入れて、認め合える関係性を築いておくことは、これ家族でなくてもどんな関係においてもとても重要だと、改めて感じた出来事だった。世界が広がって新しい価値観に触れ、新しい経験を積んで成長すれば、人の考え方も感じ方も変わる。これは悪いことでは全然ない。

それを互いに理解しあえるチームメイトでよかった。元パートナーとして、彼にはこれからも自由に、幸せでいてほしいと願う。

離婚を経ての新生活

そんなこんなで1月からニューヨークで新しい生活を始めた私。運良く、大好きなルームメイトに恵まれた。私は本当に運が良い。

ニューヨークにいる友人たちにも支えられ、呆れられるくらい元気に過ごしている。

普通に考えたら1年くらい寝込んでも良いような出来事が起きたのに、なんか年々強くなっていってる自分がいてちょっとひいている。起きてしまったことは仕方ない。目の前に続いている道で、出来ることを精一杯頑張って最大限楽しむだけだ、と思ってまた意気揚々歩き出したら、面白い出会いや出来事が続々起こる。

実はずっと、今回の離婚を公表するか迷っていたのだが、この数ヶ月「うわあこれみんなに喋りてえなあ、でも離婚したこと言ってないから言えねえつれええ」となることが多々あった。笑

そんな私をみかねて、坪田先生(ビリギャルの著者で私の恩師)に「もうさっさと公表しろよ!どうせいつか君言っちゃうんだから!!」と言われ、まあそうだな、と思って重い腰を上げた次第である。今後は、私のアメリカ生活(しかもシングル!)で起きる興味深い異文化出来事をもっと頻繁に共有していきたい所存!!

「ニューヨーク」という支え

離婚した翌日、ニューハーフさんたちが踊って歌ってくれるバーに友人と飲みに行った。

MCの人が「この中でシングルの人ー?」ときくので「はーい!昨日離婚したよー!」と言ったら

"Congratulations! Enjoy your life!!(おめでとう!人生楽しむのよ!!)"

と、店中の人たちが私の新しいステージを祝福してくれた。

私がニューヨークが好きな理由はここにある。あなたがしたどんな選択も尊重するよ、楽しんで!っていう、半分無関心なだけなんだけど、でもそれがまた私の気を楽にさせてくれる。色んなことがどうでもよくなる。そして、よおし!と力が沸いてくる。そういうニューヨークが、本当に好き。

4月の雨が5月の花を咲かせる

英語のことわざで、こんな言葉がある。

April showers bring May flowers.
4月の雨が5月の花を咲かせる

ニューヨークは今年、とても雨が多かった。4月になっても空はどんより曇っていて、今日もまた雨か…という日ばかり。太陽がなかなか顔を出さない。やっと暖かくなったか?と思うと、また冬みたいに寒くなって、街には完全に格好を間違えてる人が続出していた。

そんな感じなので、4月というと日本では、「春がきたー!」ってなるけど、ニューヨークでは春は5月かららしい。4月に降る雨が5月に咲く花をもたらすように、困難や苦労があっても、それが終われば新しい希望や幸せがきっと訪れる、という意味の言葉なんだそう。

そして待ちに待った5月。この言葉通り、途端に安定して暖かくなり、気が早いニューヨーカーたちは夏みたいな格好で公園の芝生に寝そべりだした。木々は青々とし出し、誰かタイミング見計らって植えたんじゃないか?というくらい突然姿を現した美しい花々たち。みんな大好きな季節がやってきて、街ごとウキウキしている。

私は、これからの自分の人生が楽しみで仕方ない。あと数日で私の留学は修了するが、卒業後も出来ればニューヨークに残って、また新しい挑戦をしてみたいと思っている。7月にはいま書いている新しい本(離婚の話は書いてないそういう本じゃない)の出版、9月には映画ビリギャルの中国リメイク版の公開が控えている。ずっとやってみたかったことにもいよいよ着手する予定である。この先どんなことがあっても、私は私の人生を楽しむだけ。これはずっと、変わらない。

というわけで、勝手なご報告でした。読んでくださった方、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします!!

                                                              photo by Nao Fukui

さやか


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