さまよう羊 (短歌)

わけありのロールケーキの切れ端を仲間と呼びたい終電帰り

新しい時代拓かず古き良き女性にならずただ生きている

父ははと祖先と自然の営みを裏切ることか子のないことは

赤ちゃんを守れるはずがないでしょう自分自身も守れないのに

「楽ちんでいいね」と言われる人生をあっぷあっぷでサバイブしてる

さいころで1しか出ない進まないつまらぬすごろくみたいな命

「結婚はまだか」のつぎは「子はまだか」親戚主催のスタンプラリー

『会社からしたらあんたは捨て駒や』おばちゃんそんなのきづいているよ

許されるならばこのさい謝りたい気がする祖父の十一回忌

新栗の皮剥き肌につんと刺す今日生きるのを許すみたいに

わるいこのもとにも朝はやってきて、満員電車に吸い込まれてく

幸せな一瞬だけを切り取ってごてごてデコってSNSへ

真四角の小さな画面の中でだけ幸福でいたい週明けの朝

ベビーカーと赤ちゃん抱えて乗車する彼女も世界と戦っている

ベビーカーため息被弾し縮こまる満員電車のナワバリに負け

目を伏せるママの力になれなくて今日の彼女の幸せ願う

名も知らぬママすらもしも彷徨って生きているなら手を繋ぎたい

働いて怒って泣いて笑うだけそれでも生き抜く明日のために

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