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神戸、心に留まること。


タダノヒトミさんが6月に募集されていた『あなたの神戸をおしえて』で特別賞をいただきました。

応募作品は「神戸、喫茶店、母とふたり。」

関西の田舎のほうに住んでいた私にとっては、神戸は「日帰りで行ける憧れの街」でした。あなたの神戸、と言われて、校外学習で訪れた洋館、今はなくなってしまったお店のおいしい中華粥、デートで見た夜景・・次から次へといろんな風景が浮かびました。

そのなかで、作品に書いたのは、まるで夢だったんじゃないかなと感じる思い出です。あの頃私たちにはとにもかくにも笑顔になれる時間が必要でした。ただの楽しい時間ではなくて、映画の登場人物にでもなったような、おしゃれで、非日常的な時間。

あの日、間違いなく私たちは映画の世界にいました。昔のこと、今のこと、未来のこと。幸せな部分だけをすくいあげるようにして、話しました。コーヒーに角砂糖をとかすように、ゆっくりゆっくり。あの頃を思い出すとき、たしかに真っ先に出てくるのは、あの日のコーヒーの香りなのです。そんな、ずっと心に留まっていた思い出だからこそ、今回こうして選んでいただけたことをうれしく思います。

そして何よりありがたかったのが、タダノヒトミさんご自身が、エピソードを心に留めてくださったという事実でした。

家族というのはその数だけいろんな形があるので、本来、正解なんてあるはずのないものです。それなのに、なんだか「正しいかたち」にしていかないといけないような、謎の重圧をいつも感じているような気がします。

もし、私の文章を読んだ人が、その重圧を感じてしまうとしたら、それはとても悲しいことだと思いました。そんな可能性を少しも意識していなかったので、ヒトミさんの感想を読んでいてとても戸惑ったし、文章を書くことの責任が、心にずしんと落ちてきたような気がしました。

でも、ヒトミさんはご自身で、可能性の方向に目を向けてくださいました。それはヒトミさんが、文章を心に留めて、ひとつひとつと丁寧に向き合ってくださったからだろうと思います。書き手として、こんなに幸福なことはありません。

noteに継続的に文章を載せるようになって、たったの1か月。

このほんのわずかな間に、こんなに素敵な経験をさせていただけたこと、そして、たくさんの方に読んでいただけたこと、本当にうれしく思います。

これからも、心に留まることごとを、大切に紡いでいけますように。そしてできることなら、どなたかの心に留まるようなものが作り出せますように。



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