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感想 歴史上人物~キリシタン大名~編

※ネタバレ有ります※
一番最初に思ったのは「洗礼名覚えられない…そしてこれを噛まずに言える役者さんすごい」でした笑

それはさておき。正史でも舞台でも悲しい運命を辿るキリシタン大名たち。
運命に抗いながら、もがき、懸命に生きる姿が悲しくもあり愛おしくもあり…今まであまり勉強してこなかったのですが、これを機に本を読んでみようかと思いました。

この時代にキリシタンかつ大名であることは、それだけで矛盾を孕んだ存在ですよね。
教えに反すること(戦とか)もしなくてはならなかったでしょうし、信仰を取るか大名として生きるか、本人達も葛藤が深かったんだろうなと思います。

<大村純忠&有馬晴信>

大村純忠(ドン・バルトロメオ):石原正一さん
直情型熱血コンビ。
大村純忠と有馬晴信は叔父と甥なんですね。不勉強なもので、今回初めて知りました。
ガラシャと時間遡行軍に命を救われて、ガラシャ様を聖母マリアのように思っているのかなと感じました。
出陣の際に「マルチリ(マルチリヨ=殉教)だ」と叫んだり、破れた時の「これでわしもハライソに…」という台詞に、救われたいという気持ちが覗いて聞いていて苦しかったです。

有馬晴信(ドン・プロタジオ):船木政秀さん
ちょっと抜けているところもあって、憎めない良い人。
長義さんに右頬を引っ叩かれた後に「……左の頬を差し出せ」って答えてしまうあたり、素直。
「史実と諸説が入り混じっている」という台詞のとおり、その混乱が一途さに拍車をかけているのでしょうか。
長義さんとのやり取りがとても好きです。

<高山右近&小西行長>

高山右近(ドン・ジュスト):黒川恭佑さん
ひたすら細川夫妻の幸せを願っていただけなのに、忠興様に浮気を疑われるわ、結果として忠興様を手に掛ける事になるわで不憫極まりない…。
その生真面目さからキリスト教の教えと、大名と言う立場との矛盾に一番苦しんでいるのはこの人なのでしょうね。
「だが私は好きだったんです!あの二人が!」という絶叫と、最後まで「玉様を救ってくれ」と言い残す優しさ。高潔で優しい人だなと感じました。

小西行長(ドン・アウグスティヌス):堀田勝さん
「お優しいあなたがなぜこのような目に遭わなければならない」「あなたは戦ってはならない」という台詞にあるように、右近様を気遣う理解者。
登場回数や台詞は少ないですが、大千秋楽でのご挨拶がとても印象的でした。綺伝実現の折にはもっと見せ場があると嬉しいです。

<大友宗麟&黒田孝高>

大友宗麟(ドン・フランシスコ):三浦浩一さん
刀剣男士と相対しても敵意をむき出しにせず、講和の道を探し続けるキリシタン大名たちの頭領。
「憎むことは簡単じゃ、愛することは難しい。だがその困難に立ち向かわなねば、生きることなど虚しいだけではないか」
神を信仰し、困難に立ち向かいながらも神に答えてはもらえない悲しみを抱えた人でした。
(ちょっと脱線しますが、個人的に宗麟様が歴史上人物の中で一番好き…イケおじ万歳…!)

黒田孝高(ドン・シメオン):山浦徹さん
味方にしたら心強いけれど敵に回したらこの上なく面倒な人ーーー。
人でないものになる前から既に人外の感がありますよね。怖い怖い。
「孝高」という呼び方に固執する理由や、「どうせまたこの戦いも繰り返される」という台詞、彼が何者なのかは気になるところですが…「それはまた別の話」なのでしょうね。刀ステ他作品も観て検証したいです。

キリシタン大名たちは主役ではないので、どうしても出番や台詞が限られてしまうのですよね。
それでも存在感は十分なので、歌舞伎みたいに丸一日かけた長時間の舞台にして見せ場が欲しいと思ってしまうわがままな観客です。

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