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科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』改変 いくさ世の徒花の記憶 感想④

忠興様とガラシャ様編①

細川忠興:早乙女じょうじさん

玉様(ガラシャ様)の超強火担・同担拒否勢(夫)。
玉様への愛情と、玉様が神の国を作ったせいでお家取り潰しとなってしまった恨みとの板挟みに苦しみ、神の国・慶長熊本へと執念でたどり着く。
※歌仙曰く「歴史のゆがみが引き寄せた」。

登場時は落ちぶれたボロボロなお姿で登場。
舞台中央に倒れ込み、最前列の観客がビクッとなるくらいのお姿。
歌仙に「あのような雅さのかけらもない」、ガラシャ様にも「そのお姿…何と哀れな。夫にかような醜態を晒させるとは」と言われる程の落ちぶれ方が悲しい…。

「あの女の夫は信仰だ」「お前(右近)から聞いたキリストの教えなど、玉に話すのではなかった」と、玉様とのすれ違いをキリスト教信仰のせいだと思い込み、憎しみを募らせている忠興様。
キリスト教の信仰や玉様の価値観は、当時の男性には理解出来ないものであったのでしょう。そしてお家存続を第一に考えたり、側室を持つことは当時は当たり前のことだったはずなのですよね。
その価値観と玉様を独占したいという思いは忠興様の中では全く矛盾していなかったのでしょう。歌仙の言う通り玉様が美しく、利発すぎたせいで生まれてしまったすれ違いだったのだと思います。

「俺の中に残っているのはあの女への憎しみだけじゃ」と言いつつも、
出合い頭に斬れないところに断ち切れない玉様への愛情を感じます。
しかもこの2人が慶長熊本で邂逅を果たした時の足元のスポットライト照明が十字架なんですよ。エモすぎる…!

俺は…俺はお前が憎い
憎くて憎くてたまらん
どうしてこんなに憎い…玉よ、俺はお前が愛おしくて愛おしくて堪らんからじゃ
愛おしいから憎い、憎いから愛おしい
気が狂いそうじゃ…
右近、感謝するぞ。お前がこうしてなければ俺は玉を殺しているところじゃった
いや、ためらわずそうしてやれば良かったのかもしれん
玉がそれを望んでいたのだから
でも、やはり俺には殺せなかった
あの美しい蛇を…

玉様を斬ろうとしても、なかなか刀を振り下ろせなかった忠興様。
最期には玉様を思いやり、右近にも感謝を述べる姿に、激しさだけではない忠興様の一面を見られた気がしました。

そして歌仙の回想シーン以降は綺麗なお姿になって本当に良かったなと…。
雅さと純粋さと激しさを併せ持つ方、科白劇では非業の死を遂げますが、正史では天寿を全うすることが救いです。

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