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音楽朗読劇READING HIGH「El Galleon〜エル ガレオン〜」

やっと藤沢朗読劇を生で拝見できる機会がやってきました!やった〜!
しかし、仕事を早退して早めに向かおうと思っていたのにトラブル発生で、早退できず、定時ダッシュかますことに…疲れたけど、それを補って余りある朗読劇でした。3,5次元は誇大広告ではなかったです(分かってましたが)

今回の朗読劇はマルチエンディング。
3公演あるのですが、1幕は共通。2幕からの展開が3公演とも違うんです。私が観たのは、2/7夜公演〜Heros〜です。
以下、エンディングを含むネタバレがありますので、ご注意ください。また、個人の感想ですので、ぬるっと温かい目で読んでいただけると幸いです。

《あらすじ》
19世紀初頭、そこは深い霧に包まれた夜の海。
ナポレオン戦争の真っ只中の海域に漆黒のガレオン船が現れた。
それは船乗りたちの間で長く語り継がれてきた幽霊船。呪いによって、この世界の終わりまで大海原を彷徨う船、クイーン・アンズ・リベンジ号だった。
呪われた船を巡って海賊時代の亡霊たちが蘇る…(公式サイトより)

史実を基にした藤沢さんお得意の創作です。
事実の中にほんの少しのスパイス。これがリアリティがあって、本当にみんな生きてるみたいで、凄かったなぁ。以下、キャスト(敬称略)ごとに感想を書きます。

幽霊船の船長(黒ひげ)/大塚明夫
安心安定の明夫さん。明夫さんが舞台の真ん中にいてくれると、観てるこちら側もとっても安心。私の座席が2階席のほぼ真ん中だったんですが、明夫さんが見上げた視線の先みたいなところの席でした。目が合った気がする…(オタク特有の勘違い)あと明夫さんだけスタンバイがエレベーターだったのカッコ良かった(明夫さんだけ楽器隊と同じ舞台上段での立ち位置だったため)
明るくひょうきんで、でも人情に厚く、娘のフローチェのためならなんでもする!最強の海賊なのに娘には全く歯が立たないところとか、ほんと明夫さん!って感じ(語彙力とは…)テヘペロあんなに可愛いおじさんいます!?(います)
最期のシーンでフローチェに語りかけるところは、ほんと涙無くして観れず、周りの席からすすり泣く声が絶えず聞こえてました。
大きくなったフローチェを見たい、元気でいてほしい、他には何もいらない、痛いほどに娘を思う気持ちが伝わってきました。あの消えるシーンのライティングがすごくて…プロジェクションマッピング?とも違うし。空に昇ってったんだなってのが視覚的に分かるんですよ。親は大切にしなきゃ(唐突な戒め)

ウィリアム・キッド/中村悠一
キッドかっこいいんだな〜、これが!終始、ふざけているように見えて、キメるときはキメる、最強にかっこいい男。
貴族に化けて、パーティーで財宝を盗もうと画策するところや、丘酔いでフラつくところとか(実は飲み過ぎw)見所はすごくたくさん。仲間のためにはまず、俺が先陣きって行くぜ!って感じのタイプのキャラでしたね。お衣装も素敵なの着せていただいて、ウェーブ髪の中村悠一はレアSSR。あとお化粧で目の下が隈あるっぽくなってたような?具合悪そうな顔だな、と思ってたので(笑)より海賊っぽさは出てました。「俺だってフローチェのことは妹のように大切に思ってる!」って言うところも好きでした♡
あと、明夫さんとの掛け合いもよかったなぁ。特にイギリス艦隊に負けたフリして撤退しろってところで、黒ひげが「フリでも嫌だ」とかぎゃーぎゃー言い合いするところが、朗読か?って思うほど滑らかに言い合いしてて。素晴らしかった。あと、真実が見える目を持ってるのはキッドでしたよね?あの目の演出も凄かった。こちらが見られてるような気持ち…

ウィリアム・ダンピア/梅原裕一郎
幽霊船の乗組員にして、世界一の頭脳を持つ男。冷静沈着な話ぶりで、わりと騒がしい幽霊船の参謀役。
顔がいい。衣装も似合う。超シュッとしてる(定型文)
フローチェが不治の病だと知ったとき、一番辛かったんじゃないかな。黒ひげにも言われていたけど「世界一の頭脳を持つなら、治せよ!!!」と自分が一番感じたんじゃないかな。実は物語の肝、なぜ幽霊船に呪いがかかったのか、はダンピアの提案が元。フローチェの病の進行を止めるために、幽霊船の中の時間を止め、10年に一度だけ、外の世界と接触できるよう、3人(黒ひげ、キッド、ダンピア)の命と引き換えに呪いをかけた。流れついた各時代の医学書を読み、フローチェの病の治療法を探す。結構、説明台詞多めな感じでしたが、やはりフローチェの病気を黒ひげに伝えるときとか、感情を露わにするシーンもあって、感情の振れ幅が大きく大変だったと思います。たぶん、ネルソン提督に呪いの説明をした時に「俺たちは、光になって、消える」って言ったの、梅ちゃんだったと思うんですが、この言い方がすごく良かった。てか、俺たちは“光になって消える”ってエモすぎない?藤沢さんマジですごいわ…

カスバート・コリングウッド/鳥海浩輔
鳥さんの役と諏訪部さんの役が親友ってだけて、白米100杯くらいイケるね!
藤沢朗読劇に度々登場する、政治と友情の間で揺れ動く繊細な主人公の親友役。鳥さんもすごく素敵でした。鳥さんと諏訪部さんの会話で物語が始まるんですが、数秒経っただけで、2人の関係性とか雰囲気?がすごく伝わってきて、2人すごいわ…言外を想像させる読み方すごいわ…とひたすら、ごいすーの嵐(私の頭の中で)
実はジョージ王太子から密命を受けていて、最初はカスバートが主人公か?と思ったりしたのですが、全てのきっかけはカスバートなんですよね。度々、精神的にグラつくネルソン提督を明るく支えたり、他の乗組員に気を遣ったり、フローチェの相手をしたり(鍵はスられたけど)いろんな顔を見せてくれました。
私が特に好きだったのは、最後のネルソン提督との会話。「流れ弾にでも当たって死んだことにしてくれ」というネルソン提督に「船上戦で流れ弾って…」と言いながらも、決して彼の決断を止めたりしない。肯定もしない。ただ送り出す。良妻感がすごい!!!!もちろん親子の絆も大きなテーマだったと思いますが、この2人の友情も私は大注目でした。幽霊船の影響で、死者が蘇る時、娘に会いに行けと言うカスバートも、ジョージ王太子を優しく諭し、父王との別れを薦めるカスバートも本当によくできた人間だ。鳥さんの優しいキャラ大好きです♡

ジョージ王太子/蒼井翔太
蒼井翔太が貴族の王子様役かぁ…どういうテイストなんだろう、と思っていたら。
これまた蒼井翔太に当て書きされてるんじゃないかと思うくらい蒼井翔太にぴったりな役でした。父が病に侵され狂気のうちに死んだことを目の当たりにして、自分も同じように老い、病み、死んでいくことを恐れる。美しく若い自分は今の一瞬だけ、できるだけ長くこのままでいたい、という思いから不老不死への憧れを抱いていく。いや〜、蒼井翔太だね!
私も蒼井翔太の白髪とかシワとか想像したくないです。なんか彼はもう妖精みたいな人外っぽい雰囲気を感じるんですよね…そういうのが似合う(実際、そういう役も多い)
王太子という立場から、高飛車な感じとか、高圧的に喋るシーンも多いんだけど、不老不死の薬?がないと分かって、激昂し、やがて悲しみ、失望していく様に私もどんどん感情移入して、弱っていくジョージ王太子どうしようって思っちゃいました。Herosでは詳しく語られていませんが、蘇った父王との対話がジョージ王太子を立ち直らせ、最後のシーンでは元気になってて安心した〜
でもやっぱり鳥さんの「ジョージおぼっちゃま」が一番治癒力高かったと思う(私調べ)

フローチェ/高垣彩陽
幽霊船の船長、黒ひげの一人娘。
今作で全員に愛され、全員の原動力となっていた圧倒的太陽。元気で可愛くて、ちょっと生意気。圧 倒 的 ヒ ロ イ ン 。
1幕での黒ひげとのやりとりを2幕で思いだすと、どうしてもウルウルきちゃいますよね。「船を降りたい、普通に生活がしたい」何度もそう繰り返していたのに、実は船に乗り続けることがフローチェを生かす唯一の方法だったという…
毎日、聞かされていた黒ひげやダンピア、キッドはさぞ胸がつまる思いだったろうな、と。だからこそ、船を勝手に降りてイギリス海軍に捕まったと聞いた時の黒ひげの怒りが尋常じゃなかったんですよね。
私が好きだったシーンは、ネルソン提督と彼の死んだ娘について話すシーン。「海軍の立派な提督だった父のことを彼女は誇りに思っていると思う」とフローチェは言うけれど、それは同時に黒ひげへの言葉だったんじゃないかな、と。あと、ずっと黒ひげのことを“パパ”って呼んであげなかったのに、最後に黒ひげが消えちゃうって思ったら、クソデカ声で

バァバァ〜〜〜〜〜〜!!!!!(涙声)

って呼んでくれたのも、マジで涙腺崩壊ポイントでした。
でもきっと、フローチェは聡い子だから、みんなの思いをなんとなく感じていたんだろうけど、きっとなんで言ってくれなかったんだろうって悪態をついて大泣きしたと思います。冒頭の黒ひげとのやりとりがラストシーンでネルソン提督に相手を変えて繰り返されることで、また新しい10年が始まることが示されますが、そこには黒ひげも、ダンピアもキッドもいないことがありありと分かって、なんとも悲しい雰囲気が漂うわけですよ。
役者さんの演技としては、とびきり明るいのにみんなそこに寂しさを感じてるっていうエンドがマジでエモ…。フローチェ、みんなのヒロインでした。

ネルソン提督/諏訪部順一
今回は、諏訪部さんが要所要所でもっていきましたね!って感じでした。物静かなアンニュイ提督かと思っていたら(死んだ娘の話が冒頭すぐでてきたから、ちょっとアレっと思いましたけど)ただのアンニュイ提督ではなかった!(何)
あと、ネルソン提督が心に嘘偽りがないと、キッドの真実の目に適ったから、本当のことを聞き出せたんだしね。愚直で真面目、そして暗い過去!みんなが大好きなやつだよ!!!
みなさん挙げてらっしゃいますが、親子の思いが交錯する、死者の蘇りのシーンが本当に最高でした。最期の別れを告げなければならない、黒ひげとフローチェ、カスバートに促され、蘇った娘に会いに行ったネルソン提督の思いが交互に語られるシーンは圧巻でした。今、まさに矢継ぎ早に別れを告げている最中の幽霊船組と、すでにこの先、死んでしまっている未来を知りながら(この逢瀬は現実ではないし、自分の想像だと知りながらも)ゆっくりと時間が流れるネルソン提督とソフィーの対比。「私が弦を押さえるから、ソフィーが弓を引いておくれ」とかめちゃくちゃ場面想像できる〜。あの時、最期の別れだと分かっていれば、チェロを教えてあげれば良かった、ずっとネルソン提督は心に引っかかっていたんだよね。
黒ひげとネルソン提督は直接、対峙してはいないけれど、フローチェを通じて、やはり同じ子を持つ親としてシンパシーがあったのか、ネルソン提督はフローチェについて幽霊船に乗り込むことを決意する。ネルソン提督の「海賊は働き者だな、骸骨になってもよく動く」っていう台詞があるんですが、それはきっと消えてしまった黒ひげとダンピアとキッドも思いはきっとこの船のどこかにあるって、そういう意味があるんじゃないかなと私は思いました。

《その他》
今回はマジのマジで舞台演出が今までよりも超グレードアップしてました。
生演奏も本当に素晴らしくて、特に人魚の洞窟での人魚の歌声なんかも圧巻でした。また国際フォーラムの立体音響をちゃんと利用していて、戦艦の撃ち合いだとちゃんと砲撃音が背後から聞こえてきたり、船上のネルソン提督の演説が反響して、半拍後ろから残響が聞こえたり、まさに客席すらも舞台の一部と感じられる演出が多々ありました。
天気も分かりやすかった。月夜、晴れた昼間、嵐、とか。雷の稲妻とかも稲光が走る様子がちゃんと光で表現されてるんです。あと、炎も水も出たし、こっちがびっくりしました(笑)人魚の目も怖かった…
衣装もすごくみなさん素敵で、フローチェと黒ひげの衣装に同じ柄の布が使われてて、感動。カスバートのナポレオン帽も素敵。ジョージ王太子のギラッギラも素敵でした。書ききれん!
開演前から波音と雷の音が会場に流れてて、時代背景の説明もあり、開演は出航、休憩は停泊とナレーションされるなど、世界観が作り込まれていて、本当にしばらく世界から抜け出せなかった!醒めない。

私の語彙力じゃ伝えきれないことが本当にたくさんあって。
今回はマルチエンディング全て収録された円盤が発売されるそうです。でも、あの舞台を現場で見れたことは本当に幸せなんだなと思いました。円盤ではどんなアングルが収録されるかは分かりませんが、あの空間全てがエルガレオンだったんだなぁと。役者さんはもちろんのこと客席含めた空間が舞台だったんです。

全公演終わっているので、ネタバレ解禁されているはずなんですが、円盤が出るので、出演者の方も結末はなるべく避けて書いてますよね。。。
私も感想をたくさん読んでますが、あまり決定的な結末の違いを書いている方はいらっしゃらず…気になる(>_<)
ちなみに、2/8昼公演のMemoriaが一番、感動したって人が多かった気がします。
最後にキービジュを載せて終わります。
これ、サイン入りのも飾ってあったみたいで。。。私は撮り逃しましたが。

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本当に夢みたいな世界でした。次回公演も楽しみにしています♪