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往年のカードゲーマーが『鏡のマジョリティア』暗中摸索カードゲームをプレイした
はじめに
御機嫌よう。
パルソニック氏作製の暗中摸索カードゲーム『鏡のマジョリティア』をご存知だろうか。
知らない人はboothから無料でダウンロード出来るフリーゲームだ。
こんな記事はどうてもいいから是非遊んでみて欲しい。
マージで面白かった。往年のカードゲーマーが言うんだ間違いない。
※当記事群の方針上プレイ内容は記載するものの重大なネタバレは存在しないように努めます。
カードゲームで暗中摸索?神経衰弱でもするのか?と思ったが大いに異なる。
『鏡のマジョリティア』はカードゲーマーのはずなのに記憶が無い主人公がカードの能力を推理しながら、相手に打ち勝っていくというゲームだ。
パズルゲームのようなカードゲームで『7 Days to End with You』や『Chants of Sennaar』あたりがプレイ感として近いだろうか。
手触りが良く、古き良きカードゲームの質感をそのままにプレイできた事が特に好感触だった。(任天堂『カードヒーロー』を思い出したよ)
こんな記事はどうてもいいから是非遊んでみて欲しいって言ったのにそれでも読み進めるというのであればこちらも容赦しない。
ゲーム内用語でのマジョリティアの解説をしてやろう。
雰囲気が掴めるかもしれない。
ゲーム内用語でのマジョリティアの解説
<コニコ>で<マナフリー>だ。
本ゲームのプレイヤーとして<インスペラ>だった<オリジン>は告知があった数刻後には<コンコン>しており、<サモンギャップ>を感じさせない<エンバー>高めの<ソウル>を<サモン>していたはずが、あろうことかマジョリティアは<オリジン>……それも<スペラー>とは言い難いこの<ライセンサー>を<オブザスペラ>と言わんばかりに奇妙奇天烈な<スレット>を敷いているのだ。
これには<オリジン>も<ヒートパンク>を起こし<ドロップ>した挙げ句<マナプアー>と成り果てた。決して<ライアー>に<ザミっている>わけではない、経歴は<インポスター>となり完成度に<クップク>したのだ。
マジョリティアは<ユニーク>でハートに<チャージ>される、充足な<ホールド>がもたらされような面白さだ。是非ともすぐに<レジリエンス>し、<ジェマー>として<チーツク>に<ムッカ>していただきたい。
以上<ありクイ>。
全く意味わかんねぇよ。と言うのも尤もだがマジョリティアをプレイ後は八割は意味が伝わるようになる。分かるようになったらもう一度読んでみると趣があるだろう。
真面目なプレイレポ
導入
主人公はマジョリティアの記憶が無い少年『タイガ』。
周りの反応を見るにどうやら自分はカードゲーム『マジョリティア』が大好き過ぎるようだったが、マジョリティアのルールもカードも何も覚えてない。
というか自分の事すら覚えていない。
当然、なぜ何も覚えてないかも覚えてない。
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ははっ、クソ重いね……
ところでかあさんの事も分からないよ、僕……
逃げ出すように家から飛び出ると三人の少年少女が親しげに「タイガ」と自分の事を呼ぶ。
![](https://assets.st-note.com/img/1719295766240-ZIwGYLM33e.png?width=1200)
左から「スペクタ」くん「ゴリダ」くん「モッチー」ちゃんだね……
タイガは促されるまま、知ったかぶりした状態でマジョリティアというカードゲームを始めることになる。というかタイガの方が詳しいとまで言われてしまったので聞くに聞けない。
![](https://assets.st-note.com/img/1719295847613-pAeF4lONKo.png?width=1200)
友人達もマジョリティアが出来るようだが、前述した通り何言ってるか分からない。
ただ一つ一つの動作の度に宣言してくれるおかげで謎の専門用語の意味を推理することが出来る。メモを取りながら、対戦相手に挑んでいくのが基本となる。
最初に見ることが出来るカードはこれだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1719295943208-5wGyARL54a.png?width=800)
<ビッグバン:依依恋恋>
オリジンが最初にサモンしたソウルが、
オブリビされずに4回のエンドフェイズを迎えること。
何を言ってんだよお前は。
![](https://assets.st-note.com/img/1719296048528-ClmI0vZ0vK.png?width=800)
エンドフェイズぐらいしか分からないぜ!!!!
![](https://assets.st-note.com/img/1719296182577-gBn5C4PxdT.png?width=800)
怖っ……えっ……?
![](https://assets.st-note.com/img/1719296233359-XNTSOg7qsa.png?width=1200)
こうして魔女同士の戦いを描いたマジョリティアが少年少女を巻き込み波乱の幕開けを迎える。
僕、いや、俺?私?タイガは一体どうなっちゃうの~~~~?????
![](https://assets.st-note.com/img/1719298104420-XDuwhrJjZq.png?width=1200)
もう、どうにでもな~れ☆
プレイ後記
この後も少年漫画的展開が見事に描写されており、懐かしさと共に言語推理ゲームのマリアージュが目新しい息吹を感じさせてくれる。
古き良きシナリオ構成、ゲーム性、カードゲーム愛、どれをとっても「えっ、無料でいいんすかこれ?」と思わせてくれる傑作フリーゲームである。
更にはマジョリティアは筆者のような往年のカードゲーマーにも納得がいくルール性に基づき制作されている。
しかし、カードゲームとしてのバランスは崩壊している……ということは作者も分かってやっている。マジョリティアは言語を理解することに注力したゲームなので『相手のチートの如き強カードを意味不明なテキストの解読とゲーム性の深い理解で勝利へと傾ける』事に注力したゲームなのである。
カードゲームとそのサイドコンテンツに詳しい者の手腕である。
そう思う理由を雑記に認めたい。
雑記:昨今のTCG事情を加味する
昨今我々を取り巻くトレーディングカードゲーム(以下TCG)界隈の話をかいつまんでさせて頂く、マジョリティアが何故素晴らしいか考察する一助になるだろう。
大いに私の主観が入ってしまうので正確性には欠ける点はご留意頂きたい。
TCGはアナログな時代から近代に至るまで愛されているゲームとなっている、2010年代ともなれば人気のデジタルTCG(以下DTCG)も登場し、互いの山札を持ち寄り、運を収束させて戦わせる戦術・戦略性に富む内容は多くのゲーマーから絶賛された。
あらゆるTCGは能力がインフレしていく。これは商業的に「前のカードより弱いカードをプレイヤーは買わない」という当たり前の需要を満たすために行われる調整である。単純にパワーが上がることもあれば、強力なスキルがカードに提供されることもある。
運営側が調整を誤りカードを強くしすぎてしまいカードが禁止になるなんてことはよくある事だ。(購入したカードが使用できないというのは大問題である)
しかし、特に問題なのが「能力が複雑怪奇なカード」だ。初心者は当然読めず、上級者も勘違いしながら覚える代物だ。
例を挙げてみよう。
マジック・ザ・ギャザリングのカードより
![](https://assets.st-note.com/img/1719298630684-LbIrkJ1SzN.jpg?width=800)
これは食物連鎖を表現したカードで、死亡するたびに能力が上昇すると言っている。
0/1(浅瀬蟲) → 3/3(魚) → 6/6(鯨) → 9/9(クラーケン)
と言うような形だ。
続いて遊戯王
![](https://assets.st-note.com/img/1719299098160-5VFKTcbujD.png?width=800)
いや、字が細かすぎるって。
![](https://assets.st-note.com/img/1719299160793-6L3FMZuOL7.png?width=800)
もっと細かいのもあるのかよ!
能力が分かりにくい以前に長過ぎるのである。
だが仕方ない、カードゲームは新弾が出る事に複雑化するのだ。
複雑化する表記をなんとか簡略化しようと『キーワード能力』が生まれた。
一連の挙動を単一の言語にまとめ、文章を簡略化させようとする試みである。
ちなみにこの試みは成功している。それも大成功だ。
キーワードにイメージを持たせることも出来、出てくるクリーチャーが何をしているか分かりやすくする。
例えば最も有名なキーワード能力である「飛行」なら以下のような文章になる。
飛行(このクリーチャーは飛行や到達を持たないクリーチャーによってはブロックされない。)
「ああ、このクリーチャーは空から攻撃出来るから地上のクリーチャーではブロック出来ないんだな!」と分かりやすくなる。
説明の時も「飛行持ちクリーチャー」と略して呼べるため大変便利である。
しかし、問題は……
![](https://assets.st-note.com/img/1719299539317-UWUyconjok.png?width=1200)
キーワードありすぎだろ……
詳しくは上記を見て貰うとして、とにかく数が多い。
新しいブースターパックが出るたびに2~4個ぐらいは新キーワードが現れる。キーワード能力を使っても複雑化は避けられないのである。
話を戻そう。
マジョリティアはこうした事情に注目したゲームであると私は考える。
何も知らぬ初心者だった時分、対峙する上級プレイヤー二人を観戦してみると彼らの言うカードゲーム用語が意味不明過ぎて分からない、そうした感覚を想起させてくれる。
だが理解不能で終わらず、ルールやカードの使い方を覚えていく楽しさ、覚え方まで網羅している。その他、フレーバーテキストやカードゲームの背景まで描ききっている。
こうした経験をした事があり、なおかつその一つ一つを理解させるための描写が存在しているマジョリティアを作者は作り上げたのだ。
カードゲームとその周りの事情を嗅ぎ取る相当優れた嗅覚と感性を持って無ければこの新たな試みを創造するのは難しいだろう。この考察が合っているかどうかはどうでもいい。
いずれにせよ見事と言わざるを得ない。
「えっ、このクオリティで無料?嘘だろ……」と言いたいのである。
本当に面白いぜ!鏡のマジョリティア!!!
そんな『鏡のマジョリティア』が何故か無料なので
往年のカードゲーマーがオススメさせて頂きたい。
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