ユリカモメの発信器追跡 その①

2010年に開始した、東京隅田川でのユリカモメの標識調査も10年が経ちました。これまでのデータをただいま、まとめている最中ですが、新たなステージとして、ユリカモメの発信器による追跡を共同研究で始めることになりました。

発信器を装着したユリカモメ↓

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■ 研究趣旨

 ユリカモメは越冬地では、秋から春にかけ、沿岸部や河口付近を利用します。このような環境は開発されやすく、実際、国内のユリカモメの主要な越冬地は都市部が多くなっています。今後も世界各地の沿岸部の開発が進むことが予測されているため、都市部のどのような環境が、ユリカモメが生息するのに必要なのかを明らかにすることがユリカモメと共存する上で重要となります。また、ユリカモメは1日の間にねぐらと採餌場所を行き来するため、今後、開発をする上で、移動を阻害しないような配慮をする必要があります。
 そこで、東京都内で越冬しているユリカモメに発信器を装着することで、ユリカモメの利用している環境や詳細な移動経路を明らかにします。これによって、ユリカモメの保全に向けた知見を得ることを目指します。

※ 鳥類は一般的に体重の4%以下の重さの発信器であれば、装着しても生存に影響がないと言われています。本調査ではユリカモメの体重の3%以下の重さの発信器を使用しています。


【関連情報】ユリカモメの発信器その②

渡り鳥の研究には、旅費や発信器購入、罠の作成など、そこそこのお金がかかります。もちろん科研費や助成金などを最大限獲得していますが、それだけでは大変厳しく、手弁当も多いです。渡り鳥についてもっと知ってみたいという方々のご支援よろしくお願いします。