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笛吹川水系東沢釜ノ沢東俣

日程:2022年10月22日(土)~23日(日)晴れ
メンバー:S木(L、記)、N中さん、W辺さん、A井さん

もともとこの週は塾の友の会・中級で奥只見方面へキノコ山行に行く予定だったが、金曜夕方、塾長が体調を崩されたとのことで中止連絡が届く。

紅葉の盛りなのでハイキングでも行こうかなと考えていたら、N中さんから「どっか沢の計画してよ」と雑なLINEが来たので、急遽、釜ノ沢を計画し、承認された。沢登りとしてのテクニカルな魅力はなさそうだが、ナメ滝の景観や紅葉、また久々の泊まりを楽しめそうだ。塾長からの注意としては、テン場までの距離が長く、この時期は日の入も早いため、テン場到着から逆算してできるだけ早めに出発するようにとのことで、6:19高尾駅集合とした。そして、この塾長からの注意が現実となりこの日一日中苦しむことになる・・・。

久々の泊まりに気分を弾ませて高尾駅を出発したが、A井さんより「すでに下もかなり混んでたから上は渋滞してるかも・・」と不穏な呟き・・・。とりあえず高速に乗ってみたが、その言葉どおり思いっきり渋滞にはまる。紅葉恐るべし。

上野原から高速に乗ればよかった・・。

結局、西沢渓谷駐車場に着いたのは8:30頃。無料駐車場は一応覗いてみたが案の定埋まっていたので、有料駐車場に停めて沢支度。

パッキング中

9:12駐車場出発。紅葉真っ盛り、しかも晴れの土日とあって林道は登山客で大賑わいだった。西俣吊橋を渡って右岸から河原に入ったところで沢タビに履き替える。すると、「こんにちは~。」と4人組パーティが来て、同じように沢支度を始める。W辺さんが「釜ノ沢ですか?」と聞くと「はい」と答える。複数パーティが入ることは想定通りだ。10:05先に出発させてもらう。

東沢左岸の山道歩きを経て、11:26山の神に到着、休憩を経て入渓し、ここからしばらく長いゴーロ歩きとなる。徒渉を繰り返しながら河原歩きをするが、なかなか後続メンバーのペースが上がらない。今年は天候不順であまり泊まり山行ができなかったので、皆、フルで泊まり装備を背負って長時間遡行する体力ができていないと感じた。急ぎすぎれば怪我のリスクが高まるし、後続に合わせすぎても全体のペースが落ちてテン場にたどり着けない。離れすぎない距離で引っ張るように心掛けた。

序盤の長い河原歩き

しばらく河原を歩くと、東沢の素晴らしい景観が目に飛び込んできた。紅葉がそれぞれの滝をさらに引き立たせる。やはり沢に来たのは正解だった。沢筋の方が圧倒的に色づいている。

紅葉に映える大滝
東のナメ沢

西のナメ沢付近で昼食をとる。時刻は12:45。テン場までの行程の長さを考えると気が遠くなる。メンバーの皆さんには申し訳ないが昼食は20分としてもらう。計画ではテン場予定地をCo1750としていたが、Co1670に計画変更する。みずゆきさんの記録で昨年テン場にしていた場所だ。

金山沢との出合(2:1)を過ぎ、釜ノ沢に入ると、魚留の滝が待ち構える。取り付く左壁はよく記録では見ていたが、実際に見るとスラブのステップが細かい。とりあえず取りついて、小さいステップに右足、左足と乗せて上に手を伸ばすと、しっかりしたガバがあったのでこれを頼りに登る。後続はおたすけで引き上げる。

魚留の滝
上からW辺さんをビレイ中。

これを越えると、千丈のナメが続く。紅葉が本当に美しい。来てよかった。

千丈のナメ

15:22、ようやく両門の滝にたどり着く。今日ここを越えられなかったらもう明日は下降するしかないな・・と思っていたので、プレッシャーからだいぶ解放される。それにしても圧巻だ。

両門の滝

左岸にテープがつけられていて巻き道がある。この沢は終始、テープと巻き道が明瞭だ。
この後連瀑帯となり、5×12m、薬研滝(15×20m)、8mと滝が続く。皆、巻き道がついていて容易だが、最後の8mは左壁のステップが一部細かかった。

ヤゲンの滝
8m滝

この8m滝を越えると長いゴーロ帯となる。Co1600~Co1900まで続くこのゴーロ帯は両岸に広い棚(台地)がついており、いたるところに踏み跡と焚火跡があった。Co1650あたりからテン場を探し始め、Co1670付近に寝室と宴会場を備えた快適なテン場を見つけた・・・なんとか無事についた~・・・(涙)。

こんな感じの広い棚が延々続く。

久々の泊まり沢ということで、みんないろいろ準備をしてきていた。焼き芋・・大根サラダ・・アヒージョ・・タコ酢・・シラス大根・・炊き込みご飯・・・そして疲れた体に乾杯のビールが信じられないくらいウマい!
N中さんのためにSpotifyでダウンロードしてきたユーミンを聴きながら皆で楽しい時間を過ごし、23:00頃に就寝した。

ホクホク

翌朝は前日の遅れを挽回をするために、早めに起床。私はリーダーなので夜中ずっと火の隣で番をしていたこともあり少々寝不足気味。6:48にテン場を出発。両岸の歩きやすい棚を選んでペタペタ歩く。Co1920でミズシ沢に出合う(1:2)。この辺りで棚から沢に降りて遡行する。

2段8斜滝

Co1990二又(1:1)を右に入ると、沢は倒木で荒れてくる。

倒木がいっぱい

荒れた倒木を乗り越えると、最後の大ナメ滝が見えてくる。

大ナメ滝

この巻き道でルートをミスした。踏み跡に従って左岸のガレを登ったが、それらしい巻き道が見つからない。踏み跡はいっぱいあるのに。一旦中間尾根のとりつきに戻ってみるとしっかりピンクテープがついていた。20分のタイムロス。情けない。
木賊沢を横切り高巻きを終えると、あとは延々とゴーロ、スラブ、小滝を詰める。2日目で荷物は減ったが足は重い。心を無にして登り続ける。

詰めのスラブとゴーロ

N中さんと二人で後ろのW辺さんを待っていると何やら音が聞こえる。「ヴォン、ヴォン、ヴォン、ヴォン・・・」という回転音。

S木「あ、これ、ポンプの音じゃないすかね?」
N中「きっとそうだよ。あ、あそこにもう見えてるよ」

見上げるとポンプ小屋があった。10:53ポンプ小屋到着。ポンプ小屋って何するところだろうと思っていたら、ガソリンモーターでポンプを動かして水を小屋まで引いていたんですね。ご苦労様です。

ポンプ小屋

11:13甲武信小屋到着。
小屋番さんから他パーティの情報を聞かれたので、後ろにもう1パーティいる旨を伝えた。A井さんが山頂に行きたいという。下山の時間を考えてもまだ余裕はありそうだったので、W辺さんを残して3人で甲武信ヶ岳山頂へ。晴れて空気も澄んでいたので周囲の山稜もはっきり見える。

奥秩父の峰々と奥に見える富士山
W辺さんは小屋でコーラを飲んでお留守番

小屋のテラスでお昼ご飯を食べて、12:38下山開始。戸渡尾根~徳ちゃん新道の長い長い下山路を3.5時間かけて16:15西沢渓谷駐車場へ戻った。みんなヘロヘロに疲れ切っている。体力不足を痛感したが、疲れた分、充実感はひとしおだ。
下山後は花かげの湯で汗を流し、その後はみんなで焼き肉を食べた。

肉とビールが染みる

釜ノ沢東俣は沢登りとしての醍醐味は薄いかもしれないが、素晴らしい景観をいくつも持ち、テン場も豊富にあるので、沢旅を楽しむという意味で人気があるのも頷ける。登山の黎明期に最初に道筋を付けたであろう田部重治氏はどのような思いでこの笛吹川源流を歩いたのか、興味が湧いたので著書をAmazonでポチってみた。

山行実施日:2022年10月22日(土)~23(日)晴れ
メンバー:S木(L、記)、A井、N中、W辺
山域:奥秩父
山行形態:沢登り
コースタイム:
10/22(土)
西沢渓谷駐車場(9:12)-西沢山荘(徳ちゃん新道登山口)(9:36)-鶏冠谷出合(10:11)-ホラ貝ゴルジュ(10:45)-山の神(11:26~11:36)-魚留の滝(14:00)-両門の滝(15:22)-Co1670テン場(16:20)
10/23(日)
テン場(6:48)-ミズシ沢出合(8:26)-ポンプ小屋(10:53)-甲武信小屋(11:13~11:27)-甲武信ヶ岳山頂(11:45~11:50)-甲武信小屋(12:05~12:38)~戸渡尾根分岐(12:58)~新道分岐(14:23-14:33)-西沢山荘(徳ちゃん新道登山口)(15:50)-西沢渓谷駐車場(16:15)
地形図:金峰山

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