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嬉しかった事の原点

安井さんからのバトンを受け取って、数ヶ月経った。「嬉しかったこと」数え切れないくらいある。誰かとのエピソード、或いはとある出来事。思い出しただけでニヤっとしてしまうことや、目頭が熱くなるような思い出、沢山ある。どれにしようかと思いながら、月日が流れていった。なかなか書けなかった。


グルグルと何周もして、ベタベタやけど「ハンドボール」と出会ったことに辿り着いた。結局は「ハンドボール」に着地した。


選手として。学生時代に4年生になり、ようやく試合に出られるようになって迎えた数々の公式戦。特に西日本インカレは準優勝だったけど、トーナメントを勝ち上がっていくあの感覚は最高だった。ホンダで日本一になった時は嬉しかったけど、悔しかった。結局、選手としてプレーオフのコートには一度も立つ事が出来なった。いつも最後の最後はベンチに入れずに応援席で太鼓を叩いていた。嬉しいけど、悔しい。そんな感じだった。


ホンダ熊本に移籍して、チャーリーの横を守らせて貰うようになって、天草でやった湧永製薬戦に初めて勝てたことは今でもよく覚えている。目の前のケニー古家がいて、途中からブルーノが出てきた。ホンダ熊本はクジノフとチャーリーの二人で20点くらいとっていた。もっとかな。「俺らで点取るから、クシにDFは任せるぞ」ってチャーリーに声かけてもらって粋に感じて必死で守って何とか勝利出来た。ホンダ熊本で一番嬉しい勝利だったかもしれない。


ドイツでの優勝も最高だった。本当に長いシーズンだったし、初めて右サイドやトップDF、そして初めてのドイツリーグって中での優勝は忘れられない思い出。当時のチームメイトやピルナのファンの温かさ。左膝の大怪我してアホみたいに意地になってリハビリして、北陸電力ブルーサンダーに拾ってもらって豊田合成戦に復帰できたこと。当時、外部コーチをさせてもらっていた、滋賀医大ハンドボール部での西医体での優勝。


そこから指導者に転身。最初の社会人選手権での初の3位。特に選手やスタッフが泣きながら喜んでくれた事が本当に嬉しかった。当時の細野GMの男泣きは今でもよく覚えている。次のシーズンでの初のプレーオフ進出。そこに向かう過程でのシーズンはめちゃくちゃ大変やったけど、どの試合でもギリギリで何とか勝点を拾って、最終戦のHC名古屋との一戦でプレーオフが決まった。最高に嬉しかった。怪我からのリハビリを経て、復帰していく選手をコートに送り出して、活躍するのをベンチから見守るのも最高に嬉しかった。「絶対にケガすんなよって」思いながらドキドキしながら見守っていた。


日本代表のコーチをさせてもらった時の経験。ウルリックたちとの仕事は本当に刺激的で欧州の強豪国に勝てた時の嬉しさは格別だった。2017年のドイツでの世界選手権でモンテネグロに勝利した時はめちゃくちゃ嬉しかったけど、まだ次があるので、喜びを抑える事に必死だった。自分にも選手たちにも「まだ何も成し遂げてない。まだ予選ラウンド、次がある。」と浮つかないように「嬉しさ」をなんとかコントロールしようとしていた。2019年の熊本で世界選手権、アルゼンチンとの開幕戦。8000人を超える大観衆。あの時のベンチからの光景は今も鮮明に覚えている。興奮した。最高だった。


中部大学ハンドボール部に移って、若い学生たちと過ごす日々。春秋リーグで全勝優勝。西日本インカレ、インカレでの上位進出。一点一点、一瞬一瞬、彼らの成長を見守る事自体が最高に嬉しい瞬間でもある。勝利はもちろん、出来なかった事が出来た時、成長を感じられた時、こちらの想像を超える解決を見せてくれた時、勝利とはまた別の嬉しさがある。


現役選手の頃から、将来は指導者になると決めていたので、当時から可能な限りで外部コーチや講習会をしていた。もう何年も前、十何年も前に会った当時の子供たちが大学生になって試合会場で声をかけてきてくれたり、今は指導者になって顔を見せにきてくれたりする。北陸電力ブルーサンダーの時の瀬戸なんかは僕が講師の講習会を受けたって言うて、そのまま最年長と最年少でチームメイトにもなってしまった。


当時は現役選手がそんな事する必要ないとか、プレーに集中した方がいいって声もあったけど、今考えても全てがいい経験だ。小学生男女、中学生男女、高校生男女、大学生男女、社会人男女、全てのカテゴリーに対しての指導機会を現役選手の間に経験できたことは、自分の中で大きかった。その時、その時の参加者や親御さんの笑顔を見るのは、そして時や場所を超えて再会するのは本当に嬉しいものだ。


こんなの書き出したらキリがないくらい、嬉しかったことは出てくる。まあ、それと同じか、その何倍も苦しかったこともあるけども。と言う訳で、結局は「ハンドボール」に出会った事がそもそも「嬉しかった事」の原点なんだと着地したわけである。

嬉しかったこと、それはハンドボールと出会ったこと。


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