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ドラゴンズ村松開人選手が好きな理由に対しての優雅で感傷的な考察

村松開人さんが好きだ。

 その感情は何なのだろうか。何なのだろうかというのも何なのだろう。

 そもそも最初に見たときから、「かっこいいな」とか「OOが魅力的だな」とか特別な感情を持っていたわけではない。2年目の選手だし、良いなと思ったのははっきりとは覚えていないけどたぶん、森道市場とかが終わったくらいの季節だったと思う。特にこれといった瞬間にはまった訳ではなく、何となく良いなと思う要素が積み上げられていったのだと思う。ショートという守備負担の大きいポジションながらも、勝負強いバッティング。積極的に内野安打も狙える走力。サンドラで特集されていたインタビューで、客観的な視点を持ちながらも熱量のある受け答えをする姿。鋭く切れ長な目尻と相反するしばいぬのような黒目のバランス。プロ野球選手にしては小柄ながらも、鍛えられた安定感のある体つき。OBの湊川さんのインスタに出てくる人懐っこい可愛らしい後輩としての一面。野球のために、食事制限をするストイックな向き合い方。美しいバランスの骨格が映える精悍な横顔。大学時代に培われたキャプテンシーから成せるピンチのピッチャーへの程よい声がけ。前髪が長めで真ん中分けなのが似合ってる。SNSのフォロー欄と投稿がツッコミどころがないように整理されている慎重さ。大学野球での実績を裏切ることのないバッティングの安心感。

 挙げればキリがないほどあるが、どれもそれ単独ではただ何となく良いなと思うくらいのことでもある。それどころかそれを良いと思うかは人によって異なるような両義的な要素も含まれている。そう思えてしまうことから、そういった要素から好きという気持ちに結びつく訳ではないのだろう。逆に、好きだということが反芻する心地よさを作り出すことそのものなのかもしれない。反芻できる心地よさはそうと決まったら意外にも容易く手に入る。プロ野球はシーズンがひとたび始まれば週に一回の休みを除いて何かしらの新しい情報を提供してくれるからだ。さらにはその週に一度の休みさえも、プライベートのSNSなどで新たな情報をもたらしてくれることさえある。それ以外にもファンのSNSで写真やメディアで取り上げられない情報が上がっていたり。コミュニケーションするコストも手間もかからずに、ポジティブな情報をほとんど無尽蔵に受け取ることができるのだ。

 そんなふうに気持ちを辿ってみると、想いを抱く主体とそれを取り巻く様々なものが宙に浮いていくように思えてきて、シミュラークルとシミュレーションという単語が想起された。

続く。

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