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『地島』での撮影

先日、初めて訪れた地島(じのしま)
福岡県宗像市神湊港から船で15分ほどで渡れる
周囲9.3km、人口170人の小さな島。
小さな島の中でも、ほんのごく一部の集落しか訪れていないけれど
そのどれもが素晴らしかった。

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今、リリースを目前に準備を進めている新しいシリーズの作品撮りを
カメラマンのSyunsuke Satoにお願いし、撮影場所については

「できるだけ自然剥き出しの感じがいい。
 海、空、崖、岩場、草っ原、木、以上
 みたいなところがいい。」

と私の勝手なイメージをぶつけたところ
すぐに『地島』という候補が上がってきた。
彼自身、撮影で何度か足を運び、島の人とも馴染みがあるようだった。

島には小学校があるけれど、生徒が足りないから、
九州各地から留学生といった形で生徒を呼び、
一年間島で共に生活しながら勉強する『漁村留学』という制度があるそうで、
島の小学校をなくしてしまわず、
逆に島に外からの人を呼んで島を体験してもらうという
素晴らしい取り組みだなあと、船で移動しながらそんな話を聞く。

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落石があってもうこれ以上先には進めないというくらいのところまで
足を踏み入れることができた採石場跡、
朽ち果てたコンクリートの建物跡にはストーブやガスコンロ、
なんだかわからないものが捨てられ放置されているのだが
遺跡のようでここがホテルの一室だったとしたら…など想像させる。
切り立った岩場、赤土の深い溝、生茂る木々、
観光地化されていないそのまんまの自然にいたく感動した。

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作品は、家で一人で黙々と考え、粛々と制作している時間は
とてもしんとしていて、ひどく孤独なのだけど、
それが完成し、家を飛び出して人が身につけ、
景色の中で動き出すと
まるで息を吹き込まれたかのように生き生きとし始める。
人と場所のエネルギーが含まれ、自分の手を離れて
勝手に動き出していくのを眺める瞬間がたまらない。
それらの瞬間を切り取り、写真という媒体に収めてくれるカメラマンは
すごいなあといつも感動する。

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帰りの船を待っている時に
「アンアンかノンノの撮影かと思った〜」と
屈託のない笑顔で話しかけてくれた島のおばちゃんたちが
かわいくて
「また来てね〜」と手を振ってくれた。
人も猫も人懐っこくて自然とともに生きていて
この小さな島がとても愛おしく感じた。
海沿いで死んでいた猪は干からびていて
剥製というよりかは燻製といった風情だったが
不思議と悍ましさはなく
そこにそうあるべきもの、と言った感じがした。

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