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フッ素塗布について知ろう②

【 どうしてフッ素が虫歯予防に使われるようになったの?】

口から全身の健康を考える小児歯科医 Sawako です。

フッ素に虫歯予防効果があることは、今から120年程前にアメリカで、「歯に白斑や着色がある人は虫歯が少ない」ことが明らかになったことに端を発しています。
この「歯の白斑や着色」は、歯のフッ素症(斑状歯)のことで、飲料水のフッ素が原因であることが1938年に明らかになりました。
その結果を元に、1945年〜1946年にアメリカ・カナダの4地区で水道水にフッ素が添加されました。
4地区で育った子どもの追跡調査の結果、12歳〜14歳の子どもの虫歯が50%〜70%減ったことが示されました。「虫歯が50%〜70%減る」というのは、10本虫歯になるはずだった人は、5本〜7本虫歯を減らすことができるということです。
この調査を根拠に、1969年にWHOが加盟国に対して「フッ化物応用の推進」勧告を行い、世界中でフッ素の使用が普及しました。

今では、フッ素の虫歯予防効果は、幼児期からのフッ素の使用で50%程度、それ以降は20%〜30%程度とされています。
この数字を大きいとみるか、小さいとみるかは人それぞれだと思いますが、一定の虫歯予防効果は期待できるということが言えると思います。

【そもそも、フッ素塗布って、何をしているの?】

虫歯予防を目的として、歯科医院や乳幼児検診で「フッ素」を歯に塗り込む処置を「フッ素塗布」と言います。
家庭で使われる歯磨剤やフッ素洗口液より高濃度のフッ素を歯の表面に塗り込みます。

高濃度のフッ素を塗ると、歯の表面にフッ化カルシウムという成分が作られます。
フッ化カルシウムは、数ヶ月間歯の表面に留まって、徐々に溶かされます。この時、フッ素イオンを放出します。
放出されたフッ素イオンは、再び歯の表面のエナメル質と反応して、フルオロアパタイトという成分になります。
フルオロアパタイトは、歯のいちばん外側のエナメル質の成分のハイドロキシアパタイトよりも虫歯菌の出す酸に溶かされにくく、虫歯になりにくい歯になると言われています。

フッ素には、
① 歯の表面が、虫歯菌の出す酸に溶かされにくい構造になる
② 歯の表面が酸で溶かされるのを防ぐ
③ 酸で溶かされた歯の修復を促進する
④ 虫歯菌の活動を弱める

という効果があります。

歯に高濃度のフッ素塗布を行うと、歯や粘膜に取り込まれたフッ素が徐々に放出されて、唾液のフッ素濃度が高く保たれるため、①〜④の効果が長期間に渡って得られることになります。

長くなるので、次回に続きます。

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