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フッ素塗布について知ろう①

【フッ素って何?】

口から全身の健康を考える小児歯科医 Sawako です。

1歳6ヶ月のお子様を持つ保護者の方から、「1歳半健診でフッ素を塗るか聞かれるのですが問題ないものでしょうか?」というご質問を頂きました。

自治体の行う1歳6ヶ月検診・3歳児検診で、お子様にフッ素塗布を勧められることは多いと思います。
歯科医院にも、「フッ素を塗って欲しい」とお子様を連れて来院される保護者の方も多くいらっしゃいます。
「フッ素が歯を強くする」というCMが放映されていたこともあり、虫歯予防=フッ素というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?

ですが、フッ素とは何か?  何故フッ素が虫歯予防に効果があると言われるようになったのか? を知っている方は少ないと思います。

数回に分けて、歯科で使う「フッ素」についてお話します。

フッ素(F)とは、原子番号9番の元素です。自然界に存在する物質で、土や水に含まれています。土に植えて栽培する作物、海藻など多くの食品にも含まれています。
自然界でのフッ素は、フッ素のみで存在することはほとんどありません。他の元素と結びついて、フッ化物として存在しています。
「フッ化物」は一般的に使われる呼称ではないので、ここではわかりやすく「フッ素」と記載します。

フッ素は人間の体に必要なミネラル(必須ミネラル)=栄養素の1つでもあります。
体内のフッ素は、ほとんどが骨や歯に存在しています。
体内でフッ素が不足すると、骨が脆くなる(骨粗鬆症)、虫歯が多くなる(多数歯う蝕)、爪が割れやすくなるなどの症状が出ます。
体内でフッ素が過剰になると、歯に褐色の斑点や縞ができる(歯のフッ素症、斑状歯)、骨の異常成長や強度の低下(骨のフッ素症)、甲状腺機能の低下、神経障害などの症状が出ます。

フッ素は、食べ物や飲み物、歯磨剤や洗口液、フッ素塗布の形で、口から体内に取り込まれます。口から入ったフッ素は、胃や腸から吸収されて体内を巡りますが、9割は排泄されます。残った1割は、骨や歯に一時的に蓄えられ、その後排泄されます。
フッ素の1日の適正摂取量は、体重1kgあたり0.05mg =0.05mg F/kg・日とされています。
骨や歯が作られている途中の子ども(出生〜8歳)では、体重1kgあたり0.1mg =0.1mg F/kg・日とされています。
体重50kgの人では、1日あたり2.5mgのフッ素摂取量になります。
日本の成人が飲食物から1日に摂取するフッ素量は0.48~2.64mgと推定されていますので、不足分を歯磨剤などで補うことになります。

長くなるので、次回へ続きます。

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