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そのぶくぶくうがい、大丈夫? ①


【「ぶくぶくうがい」とは?】

口から全身の健康を考える小児歯科医 Sawako です。

『フッ素洗口』の記事で、「お子様がぶくぶくうがいを上手にできるか? をご家庭でしっかり確認して」と書かせて頂きました。
何故かというと、診療室で見ている範囲でですが、ぶくぶくうがいを上手くできないお子様が増えているからです。

ぶくぶくうがいは、3歳児の50%、4歳児の75%ができると言われていますが、中学生・高校生でも上手にできていないことがあります。
また、高齢者でも上手くできないケースがあります。最近は、健康な成人でも、ぶくぶくうがいが上手くできない人が増えているようです。

ぶくぶくうがいは、「口に水を含んで、含んだ水を左右に揺らして口の中を濯ぎ、吐き出す」だけのシンプルな動作です。口の中の汚れをうがいの水圧で洗い流すために行います。
「ある程度の年齢になったら自然にできる」と思われているぶくぶくうがいですが、口の機能が十分な大人には簡単でも、口の機能が未発達な子どもや、口の機能が弱っている高齢者には、意外と難しいものなのです。
何故なら、舌やのど・頬・唇などの筋肉を協調して使い、呼吸を整えながら、のどの奥や鼻にうがい液が誤って入らないようにする必要があるからです。
普段意識せずに行うぶくぶくうがいですが、実は、機能が複雑に連携を図りながら行われているのです。

《よく見られる「正しくない」ぶくぶくうがいの例》
①口に水を含んで「ぶくぶく」せずに吐き出す、「ぶくぶく」していても頬が動いていない

②「ぶくぶく」しているうちに口から水が漏れる

③「ぶくぶく」の時に頬を動かさずに頭を左右に振る

④「ぶくぶく」して吐き出した後も口の中に汚れや歯磨剤が残っている

⑤「ぺっ」と吐き出せずに、口を窄めてちょろちょろと吐き出す、歯と歯の間から押し出すようにして吐き出す

【ぶくぶくうがいが上手くできないと何が問題なの?】

例えば、①「ぶくぶく」しても頬が動いていない場合、②「ぶくぶく」しているうちに口から水が漏れる場合は、唇を閉じる筋肉や頬の筋肉の力が弱い可能性があります。また、自分の頬張れる1口量がわかっていない可能性もあります。

唇を閉じる筋肉が弱い場合は、口呼吸や「お口ぽかん(無意識に口が開いている)」につながります。
頬の筋肉の力が弱い場合は、のっぺりとした顔になりがちで、表情が上手く作れないことがあります。
自分の頬張れる1口量がわかっていない場合、普段の食事でも口一杯頬張って、噛まずに飲み込んでしまったり、口を開けて食べる「くちゃくちゃ食べ」につながることがあります。

④「ぶくぶく」して吐き出した後も口の中に汚れや歯磨剤が残っている場合も、唇を閉じる筋肉や頬の筋肉の力が弱い、自分の頬張れる1口量がわかっていない可能性があります。

⑤「ぺっ」と吐き出せずに、歯と歯の間から押し出すようにして吐き出す場合、舌が上手く使えていないのかもしれません。呼吸が上手くできていない可能性もあります。

「ぶくぶくうがい」からは、お子様のお口周りの発達の課題が推測できるのです。

長くなるので、次回に続きます。

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