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フッ素洗口始まってます

【フッ素洗口って何?】

口から全身の健康を考える小児歯科医 Sawako です。

勤めている歯科医院のある地域で、フッ素洗口(正確には「フッ化物洗口」ですが、一連の記事ではフッ化物を「フッ素」で統一しています)を実施する小学校が増えています。

保護者に配られたお知らせ

保護者から「学校でフッ素洗口が始まったけれど、歯科医院のフッ素塗布もやって大丈夫ですか?」とのご質問を頂くことが増えました。

フッ素洗口とは、フッ素を溶かした水(フッ化ナトリウム溶液)でぶくぶくうがいをする方法です。最初に生えてくる永久歯の奥歯である6歳臼歯(第1大臼歯)の萌出時期に合わせて4歳〜5歳頃から開始し、中学生まで続けることで、生えてきた永久歯の歯の質を強くして虫歯予防に効果があると言われています。

【日本のフッ素洗口の歩み 新潟の奇跡】
1970年、新潟県西蒲原郡弥彦村立弥彦小学校で、日本初の集団フッ素洗口が開始されました。
弥彦小学校での虫歯減少の成果を受けて、新潟県は1975年から、保育園・幼稚園〜小学校〜中学校での集団フッ素洗口のでは普及を進めました。
その結果、12歳以下の子どもで、1980年には1人平均5.03本だった虫歯が、2015年には0.46本に、2020年には0.28本に減少、虫歯のない児童の割合が80.1%になりました。
※数字は「一般社団法人 新潟県歯科医師会HP」より引用

12歳以下の子どもで、1人平均の虫歯が最も多い県では1.6本、全国平均でも0.6本ですから、新潟県が突出して低いことがわかります。
このことは「新潟の奇跡」と呼ばれ、全国の自治体が学校での集団フッ素洗口を推進する際のモデルになっています。
新潟県の経緯をみると、12歳以下の子どもの虫歯は、フッ素洗口を含む学校の取組で減らすことができそうです。

【フッ素洗口って、やった方がいいの?】
新潟県の小・中・高等学校のデータを利用したフッ素洗口の効果確認研究で、虫歯の予防率は42%と出ています。
これは、「フッ素洗口を行わなければ10人に虫歯ができたはずが、フッ素洗口を行った結果虫歯ができた人は5人〜6人だった」ということです。
この数字を大きいとみるか、小さいとみるかは人それぞれですが、一定の虫歯予防効果は期待できると言えます。

お子様の通う保育園・幼稚園・学校でフッ素洗口が開始される場合、お子様がぶくぶくうがいを上手にできるか? をご家庭でしっかり確認して頂ければと思います。
国や自治体のマニュアルでは、「①口に水を含んで溜めることができる ②口に含んだ水を吐き出すことができ」れば、フッ素洗口ができるとされていますが、実際のフッ素洗口では、30秒〜1分以上ぶくぶくうがいをします。

診療室で見ていても、「ぶくぶく」が上手くできないお子様は、「ぶくぶく」しているうちに少しずつ飲み込んでしまうことがあります。「ぺっ」と吐き出せないお子様もいます。
フッ素洗口用のフッ化ナトリウム水溶液は、多少飲み込んでも安全なように濃度が調整されていますが、年齢が下がる程口の機能の発育は個人差が大きくなります。特に、小学校低学年までのお子様は注意が必要だと感じます。

また、最近の傾向として、慣れない臭いや味に人一倍敏感なお子様がいらっしゃいます。フッ素洗口用のフッ化ナトリウム水溶液は無味無臭に近いものですが、敏感なお子様は臭いや味を感じ取ってしまいます。「学校で皆がやるのだから…」とプレッシャーをかけることのないようにして頂ければと思います。

最後に。
「学校でフッ素洗口が始まったけれど、歯科医院のフッ素塗布もやって大丈夫ですか?」の回答。
用法容量を守って適切に使えていれば(←ここ大事)併用して問題ありません。

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