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「お口ぽかん」は百害あって一利なし ②


【「お口ぽかん」は何がいけないの?】

口から全身の健康を考える小児歯科医 Sawako です。

「『お口ぽかん』は百害あって一利なし ①」で、「お口ぽかん」がクローズアップされるようになった背景について書きました。

では、「お口ぽかん」は、何がいけないのでしょうか?  理由は、大きく分けて2つあります。

口呼吸になりやすくなる
舌の正しい位置がわからなくなる

【❶「お口ぽかん」は口呼吸になりやすい】

生き物は、生命を保つために、呼吸をし続けています。呼吸とは、空気中から酸素を取り入れ、体内でできた二酸化炭素を体外に排出するガス交換のことです。人は本来、鼻で呼吸をするようにできています。
ですが、口を開いている状態が習慣化すると、口から呼吸をしやすくなります。口から吸う方が空気抵抗が少なく、呼吸が楽だからです。なので、息苦しい時、口呼吸になります。

口呼吸では、取り込む酸素の量が鼻呼吸よりも多くなります。「取り込む量が多い」というと、全身に酸素が行き渡りやすいように感じますが、実際は、体内の酸素と二酸化炭素のバランスが崩れるので、全身に酸素が行き渡り難くなります。口呼吸の人の身体の中では、ずっと酸素不足の状態=息苦しい状態が続いていることになるのです。
息苦しいから口で呼吸をする→全身に酸素が行き渡り難くなる→呼吸の回数が増える…の繰り返しになり、身体はいつも、酸素不足の状態になります。それにより、様々な不調が引き起こされることになるのです。

口呼吸によって引き起こされる不調については、情報が溢れていますが、ざっとまとめると…

・怠い、疲れやすい
・集中力が続かない
・やる氣が起きない
・不眠、睡眠不足
・鼻炎、アレルギー、アトピー性皮膚炎などの様々なアレルギー症状の悪化
・関節リウマチの悪化
・風邪やインフルエンザに罹りやすい
・扁桃腺腫れやすい、慢性扁桃炎
・気管支喘息の悪化
・誤嚥性肺炎を招きやすい
・鼾をかきやすい、睡眠時無呼吸症候群
・顎関節症になりやすい
・歯軋り、歯の痛み
・ドライマウス
・口臭が酷くなる
・虫歯、歯周病の悪化
・姿勢が悪くなる、身体の歪み

感染が流行ってマスクの生活が日常化してから、大人も子供も、「お口ぽかん」の人が増えました。
スマートフォンやタブレットなどの使用で、長時間俯く生活も、「お口ぽかん」が増えている原因の1つです。

長くなってきたので、❷舌の正しい位置がわからなくなる については、次回に続きます。

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